植物工場ベンチャーの「みらい」(千葉県松戸市)と米電機・金融大手ゼネラル・エレクトリック(GE)の日本法人、日本GEは4日、7月にも宮城県多賀城市内の植物工場でLED(発光ダイオード)照明を使った効率的なレタス栽培の実証実験を始めると発表した。生産性の高い植物工場の事業モデルを確立して新産業を創出し、被災地の経済振興につなげる。
多賀城市のソニー仙台テクノロジーセンターの空き室でみやぎ産業振興機構が運営する「みやぎ復興パーク」に人工光の植物工場を設け、レタスを栽培する。敷地面積は2240平方メートル、栽培面積は100~200平方メートル。
実証実験では日本GEがLEDや情報解析システム、センサーを提供。生育に最適なLEDの波長や気温、湿度などを検証して工場内の環境を人工的に制御する技術を開発し、安定的な栽培方法の確立を目指す。
2012年度に実証実験を終え、結果を踏まえて13年度に商業化する。地元から20人程度を雇用する方針。
みらいの嶋村茂治社長と日本GEの田中豊人専務執行役員、多賀城市の菊地健次郎市長が市役所で会見。みらいは葉物野菜を栽培する植物工場を国内11カ所で展開しており、嶋村社長は「当社の栽培技術とITを融合し、先端化された植物工場を目指したい」と述べた。
実証実験は経済産業省の「IT融合による新産業創出の研究開発事業」に採択され、経産省と宮城県から補助を受ける。
多賀城市は、減災産業の集積を図る「市減災リサーチパーク(仮称)」での賃料の助成を検討している。
植物工場は天候や季節に左右されず、無農薬で栄養価の高い野菜が生産できるが、光熱費などの運営コストが高く、品質や収穫量を安定させる環境の制御などが課題となっている。