LINEヤフー、韓国IT大手・ネイバーへの業務委託を終了へ…韓国では行政指導に反発強まる

無料通信アプリ「LINE」の利用者らの個人情報が不正アクセスで流出した問題で、LINEヤフーの出沢剛社長は8日、大株主の韓国IT大手・ネイバーに対するサービス開発関連の業務委託を「ゼロにする」と表明した。

 一方、総務省が行政指導で求めたネイバーとの資本関係の見直しについては、ネイバーなどに「要請を続けている」と述べるにとどめた。

 出沢氏は8日の決算記者会見で、情報流出について改めて陳謝した。再発防止策として「ネイバーとの委託関係を順次終了し、技術的協力関係からの独立を推進する」と述べ、サービスや事業開発などでの委託をやめる方針を強調した。今年度に約150億円を投じ、委託業務の内製化などを進めるという。

 昨年11月に公表した情報流出は、ネイバーの子会社を経由した不正アクセスが原因だ。旧LINEはもともとネイバーの子会社で、社内システムをネイバーと共用しており、開発業務の一部を委託していた。

 資本関係の見直しについては、親会社のソフトバンクとネイバーに「要請を強く続けていて、2社間で交渉は行われている」と説明した。出資比率については、「ソフトバンクが過半をとる形での変更」を前提としていると明言した。

 また、ネイバー出身でサービス開発の責任者を務める慎ジュンホ氏が6月18日付で代表取締役を退任し、開発責任者に専念するとした。代表権のある取締役は出沢氏と川辺健太郎会長の2人となり、経営と執行の分離を進めて企業統治体制を強化する。

 一連の不正アクセスでは昨年9月以降、LINEの利用者情報などが最大で約52万件流出した。総務省は今年3~4月、異例となる2度の行政指導を行った。流出の背景に、ネイバーとの「依存関係」があったとして、資本関係を含めた経営体制や業務委託の見直しのほか、システムの早急な分離を求めている。

韓国では反発強まる

 【ソウル=小池和樹】LINEヤフーに対して総務省が行った行政指導に対し、大株主のIT大手・ネイバーがある韓国で反発が強まっている。

 総務省は行政指導で、ネイバーとの資本関係を含めた経営体制見直しなどを求めた。これに対し、韓国外交省は4月27日、「韓国企業に対する差別的措置があってはならないという確固たる立場」を表明した。ただ、「韓日間でコミュニケーションは取れている」とし、両国間の外交問題に発展する事態は避けたい考えもにじませている。

 一方、韓国メディアは日本政府の対応を一様に批判的に報じている。保守系有力紙・朝鮮日報は社説で、「両国の友好関係に冷や水を浴びせる行為だ。日本政府は不当な圧力をやめるべきだ」と主張した。

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