国内で過去最大のマグニチュード(M)9・0を記録した東日本大震災によるM5以上の余震が600回に迫ろうとしている。8月にも11回観測され、終息の気配はうかがえない。気象庁は、大規模な余震の影響で新たな余震が発生する“余震の連鎖”を理由に挙げる。地震学者は「今回の地震で余震域以外でも地震が誘発されている。余震を含め地震は年単位で続くだろう」との見方を示す。
気象庁によると、東日本大震災の震源域は岩手県沖から茨城県沖の南北450キロ、東西150キロに及ぶ。
震源域周辺では1日までにM5以上の余震が559回発生。月別でみると、3月427回▽4月56回▽5月29回▽6月17回▽7月19回▽8月11回-と減少傾向にあるが依然、10回以上発生している。
気象庁は「今回の巨大地震では、断続的に発生する余震の規模が大きいことが影響している」と分析。東京大学地震研究所の大木聖子助教も「大規模な余震が発生すると、周辺でその余震が起きる」と指摘する。
ただ、“余震の連鎖”を生み出す大規模な余震について、大木助教や気象庁は「数は際立って多くない」と説明する。
一般的に最大余震は本震からM1程度小さいとされる。今回の地震ではM7級の余震が6回しか観測されておらず、同規模だった平成16年のスマトラ沖地震(M9・1)と同数だった。7年の阪神大震災(M7・3)で今回のM7級に相当するM5級の余震も約1カ月間に計6回。今回の地震はもともとの規模が大きいため、一定規模以上の余震回数も多くなっているとみられる。
一方、スマトラ沖地震では発生から約5年半後の昨年6月にもM7・5の余震が発生。大木助教は「今回も数年単位で大規模な余震が発生する可能性がある」という。
今回は余震域以外の長野県や静岡県などでもM5、6級が発生するなど、岩盤のバランスが変わった内陸部などで新たな地震が誘発されている。大木助教は「東日本全域に影響は及んでおり、警戒は続けなければならない」と話す。