三菱東京UFJ銀行など大手5銀行の少額投資非課税制度(NISA)の口座に2月末までに860億円の投資マネーが流入したことが24日、分かった。各行による手数料無料の投資信託販売などが功を奏し、投資経験が少ない人に投信販売の裾野が広がった。ただ、NISA口座で投信を売買する“稼働率”は15~30%にとどまっており、今後の活性化へ向け課題も残る。
NISAは年間100万円まで株式や投信への投資で得た利益に対する課税が5年間免除される優遇制度で1月に始まった。多くの人が投資に関心を持ち、個人の金融資産が貯蓄から投資に向かう起爆剤になることが期待されている。
三井住友銀行やみずほ銀行では、1月以降に投信を購入した顧客の約半分がNISA口座を活用した。「1月の販売実績をみると、NISA利用者の3割が投資を行った経験のない顧客だった」(国部毅三井住友銀頭取)。
各行とも口座開設者は60歳以上のすでに資産を保有する層が中心。ただ、みずほ銀はNISAで同行に初めて口座を開設した顧客のうち、75%が60歳未満の「資産形成層」としており、比較的若い層の開拓にも結びつき始めている。
各行が買い得感のある投信販売や付帯サービスを提供し口座獲得競争を繰り広げていることも、NISAの人気を後押しする。
三井住友銀はインターネット取引限定のファンド36本について、12月まで購入手数料を無料にした。みずほ銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行もネット専用の手数料無料ファンドで投資のしやすさをアピールしている。みずほ銀はさらに毎月分配型のファンドを、NISA向けに年1回分配にしたファンドを投入するなど、わかりやすい商品設計に工夫を凝らす。
一方、三井住友銀行は今年中に1回で50万円以上の投信を購入した顧客に交通事故傷害保険を無料で付与している。三菱東京UFJ銀行は4月から新規でNISA口座を開設した人に500円、さらに投信を購入した人には1500円の現金を提供するキャンペーンを始める。
大手5行のNISA口座開設数は合計約70万件。三井住友銀は3月末までに20万件という当初目標を2月末時点で達成した。しかし、口座を開いたままにしている人も多く、各行とも投資を促す新たな仕掛けを講じる必要がありそうだ。