NSX・ピンク電話…珍品あり自治体ネット公売

 税金の滞納者から差し押さえた物品をインターネットオークションで公売する「ネット公売」の利用が、埼玉県内の自治体で広がっている。
 中には思わぬ高値が付いて担当者を喜ばせることもあるほか、自治体が物品の差し押さえを強化することで滞納が解消されるケースもあり、納税率アップにも一役買っている。
 ネット公売は、オークションサイト最大手の「ヤフー」が開催しており、自治体などの公的機関が差し押さえ物品や不要となった公有財産を出品している。県内でも、県をはじめ、さいたま市や川越市など33市町が参加している。
 県は2005年12月、県内の自治体で初めてネット公売を導入。これまで22回参加しており、出品した676点のうち478点が落札された。落札総額は約6340万円で、思わぬ高値を付ける物品もあり、見積総額(約3370万円)の約1・9倍に上っている。
 最高値はホンダのスポーツカー「NSX」(95年式)で、見積額約370万円に対して42人が入札し、最終的に約620万円にまで跳ね上がった。予想外の高倍率となったのはホンダの原付きバイク「モトコンポ」。3000円と見積もったが、20年以上も前に生産中止になっていることもあってか635人が入札し、最高倍率となる43倍(約13万円)で落札された。
 出品されるのは車が最も多いが、着用できる 甲冑 ( かっちゅう ) 、ピンクの公衆電話機、休止中の電話加入権といった“珍品”もしばしば登場している。県税務課によると、ネット公売導入以前は、公売会場に足を運べる人が少ないこともあり、物品を差し押さえることはほとんどなかったという。しかし、ネット公売なら全国各地からインターネットで誰でも参加できるため、差し押さえ対象は不動産や債権だけでなく、物品にも広がってきたという。
 そのため、思い入れのある物品の差し押さえを避けようと納税するケースもあり、02年度は94・5%だった県税(県徴収分)の納税率は08年度には97・9%にアップ。同課は「滞納の抑止効果にもつながっている。これからも力を入れていきたい」と話している。
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 埼玉県のネット公売は、今年度は6回実施予定。初回は車や除雪機、指輪など17点が出品される。6月8日までにヤフーの公売サイトから参加申し込みし、同14日午後1時~16日午後11時に入札する。
* 官公庁オークション プレス(Yahoo!オークション)

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