NTT、光回線シェア拡大8割へ 「公設民営方式」導入急増

自治体が光回線などを敷設して運営を通信事業者に委託する「公設民営方式」によるブロードバンド(高速大容量)通信の導入が急増する見通しだ。光回線サービスのシェア(市場占有率)74%を持つNTT東西地域会社が自治体のこうした計画に応じて提案した件数は合計約240件で、09年度までの累計実績の3倍に上ることがわかった。国の支援策を活用した自治体の事業計画がめじろ押しのためだが、多くの案件でNTT東西の単独応札になる見通しで、シェアの急上昇が確実視されている。
 公設民営方式による光回線敷設事業などへの交付金は2002年度から実施しており、09年度補正予算の交付金は約780億円を計上。山間部や過疎地域などの自治体がブロードバンド整備を相次ぎ計画。申請件数(公設民営方式以外も含む)は08年度の125件から414件に急増した。
 公設民営方式の場合、自治体は敷設した光回線設備を通信事業者に貸して住民向けサービスや保守を委託する。09年度までにNTT東日本が57、西日本が24の自治体でサービスを提供しているが、今年度の提案件数はそれぞれ200件と40件。
 ただ、山間部などでは採算性が悪く、NTT東西以外の事業者が応札していない自治体も多い。特に東日本地域では「競争相手がいない状態」(NTT東日本)のため、ほとんどの案件でNTT東日本が契約する見通し。「NTTの全国シェアは8割近くまで上昇しそうだ」(通信事業者)と寡占化を懸念する声もある。
 原口一博総務相は、光回線を中心とした全国ブロードバンド整備を目指す「光の道」構想を提唱している。

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