アメリカンフットボール反則タックル問題や田中英寿前理事長(75)の脱税事件など、〝不祥事のデパート〟に歯止めがかからなかった日本大学。抜本的な改革に向け、次期理事長に作家の林真理子さん(68)を抜擢(ばってき)する。早ければ3日の理事会で承認する。幼稚園から大学まで12万人超の巨大組織は果たして変われるのか。
林さんは1954年山梨県生まれ、日本大芸術学部卒。コピーライターを経て作家に。86年「最終便に間に合えば」「京都まで」で直木賞。2018年紫綬褒章。20年に菊池寛賞を受けた。日本文芸家協会理事長。
林さんはかつて週刊文春のコラムで、日大不祥事に心を痛め、「日大変えたる」「理事を無給でやります」「ガバナンス全くなしオヤジばかりのオレ様主義の学校を、オバさんの力で何とか変えてみたい」などと意欲を見せていた。
次期学長には酒井健夫元総長(78)が就任する見通し。1日の「学長候補者推薦委員会」で投票が行われ、3分の2以上の票を得た。かつて日大は総長が学内の序列トップだったが、13年の制度変更で総長職を廃止。理事長がトップで、学長が次ぐ体制が「ゆがみの温床」とされた。
田中氏と「永久決別」を宣言した日大だが、その後も田中氏が校友会を訪れるなど、影響の完全排除ができていないことが発覚している。
また、日本最大とされる学校法人のかじ取りが難しいのも事実。林さんの経営者としての手腕に期待するところは大きいが、成功の可否は見通せない。