日本の「RAMEN(ラーメン)文化」が、外国人の熱い視線を浴びている。
大阪府東大阪市にある ラーメン店開業を目指す人の養成所「ラーメン屋育成ジム」は、大阪を訪れる外国人観光客の人気スポットと化し、40カ国以上から予約が殺到。外国人向けの 1日体験コースには、これまで300人以上が参加した。ラーメン好きな外国人の関心が、「日本で食べたい」から「自分で作ってみたい」へと変化している。 (芦田彩)
東大阪市小若江にある2階建ての古い建物で、若い米国人男性が真剣な表情でノートとカメラを片手に学んでいた。目の前にあるのは、業務用の大きな寸胴鍋(ずんどうなべ)。中でぐつぐつと煮込まれているのは豚骨だ。
通訳を通して、スープや麺、チャーシューなどの作り方について、ジムの宮島力彩(りきさい)代表(50)から個人指導を受ける。この日、1日体験コースを 受講した自営業のジェック・マグワイヤーさん(30)は「スープにかつお節や昆布など多くの材料が使われていて、時間と手間のかかる料理だと知って驚い た。帰国したら友達とラーメンパーティーをやってみたいね」と笑顔で語った。
宮島代表は経営コンサルタントを経てラーメン店の経営に携わった経験から、ラーメン店開業を目指す人のための学びの場をつくろうと平成13年、同ジムを兵庫県川西市に開設。21年に東大阪市に移転した。
ラーメンの調理技術と経営ノウハウなどを個人指導する。スープの仕込みなどに長時間を要するため、基本コースは1週間程度だが、24年ごろからインターネットを見て知った外国人も訪れるようになり、同年、外国人向けの1日体験コースも設置した。
料金は5万円と決して安くはないが、これまでにヨーロッパやアジアなどを中心に40カ国以上、300人を超える外国人が受講した。
以前から海外にも日本のラーメン店は存在したが、人気ラーメン店「一風堂」が2008(平成20)年に海外進出したことなどからRAMENブームに火がつ いたという。日本でラーメンを食べるのを楽しみにしている外国人旅行客の姿も目立ち、ツイッターなどに載せるため、注文したラーメンをカメラで撮影する光 景も珍しくない。
これまでに日本のラーメン店900軒以上を食べ歩き、ブログ「Ramen Adventures(ラーメン・アドベン チャーズ)」で発信している米国人、ブライアン・マクダクストンさん(37)は「すしと違って価格が安く、スープのバリエーションも豊富なため、誰でも気 軽に食べられる日本のB級グルメ」とその魅力を分析。「『食べてみたい』という思いがいつしか『作ってみたい』という行動に変化しているのでは」と話して いる。