SIMロックを原則禁止に 携帯乗り換え促進で総務省が報告書

総務省は24日、携帯電話会社の乗り換えを促すための有識者会議を開き、自社回線でしか通信ができなくなる機能の原則禁止を求めることなどを盛り込んだ報告書をまとめた。菅義偉(すが・よしひで)政権による値下げ要求で、携帯大手による価格競争は起きたが、料金水準やサービス内容はむしろ均一化している。業界内の競争を活性化し、消費者に質の高い通信環境を安価に提供するという本来の目的を達成するには、より踏み込んだ施策が必要だ。 【どこがお得?】4キャリアの最新プランを比較  報告書では、携帯電話端末を自社回線でしか通信できなくする「SIMロック」の原則禁止を求めた。平成26年にロックの解除を義務化するなどしてきたが、ロック機能そのものを無くすべきだとした。  また、SIMカードを差し替えなくてもオンラインで契約者情報を書き換えられる「eSIM」の今夏導入も求めた。携帯会社を乗り換えても携帯会社のEメールアドレスをそのまま使える仕組みを来年夏までに整備する目標も盛り込んだ。  ただ、これで乗り換えが加速するとはかぎらない。  総務省はこれまで、SIMロックの規制緩和のほかにも、電話番号を変えずに別の携帯電話会社に乗り換える「ナンバーポータビリティ(MNP)」の転出手数料や解約時にかかる違約金など、乗り換えにかかる金銭的な負担を取り払ってきたが、MNP利用者数は頭打ちとなっている。  MNPの利用者が増えたのは、最新のスマートフォンが無料で手に入るほどの過度な現金還元が背景にある。ただ、過剰な現金還元は令和元年の法改正で禁止され、この手法はもう取れない。   今後のカギを握るのは、高速大容量の第5世代(5G)移動通信システム時代を見据えた大容量帯の競争活性化だ。5Gでは、アイドルのライブやスポーツイベントなどを3次元(3D)映像で体験したり、大人数でゲームを同時プレイしたりといったこれまでにない新サービスの登場が期待されている。  一連の値下げでは、7千円台だった大容量帯は千円程度の引き下げにとどまった。各社は5Gに合わせた新サービスごとに利用料を徴収するようなビジネスモデルへの転換も検討を進めている。総務省には、大容量帯の低廉化と5G向けサービスの充実を両立させる施策が求められる。(高木克聡)

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