楽天の株買い増し通告を受けたTBSは27日、取締役会を開き、買収防衛策発動の準備を行うことを決めた。防衛策発動の是非を評価する第三者機関「企業価値評価特別委員会(委員長・北村正任毎日新聞社社長)」が同日招集され、株式取得の目的などを内容とする質問状送付を決定し、楽天に届けた。楽天は26日、特別委の評価期間中は株買い増しを行わない誓約書を送っており、特別委に自社の主張を展開、理解を求める考え。6月28日のTBS株主総会に向け、特別委を舞台に攻防が本格化する。
取締役会は正午から開かれた。特別委開催の要請に加え、楽天が株式買い増しの理由を示した「買付意向説明書」の内容では説明が不十分と判断。追加質問を行うことを決議し、特別委に了承を求めることを決めた。
これを受けて特別委が午後1時半から開催。質問状の送付が承認され、TBS幹部が楽天に持参した。
TBS幹部は同日、「1年半にわたって提携協議を続けてきたが、楽天は事業提携に興味がなかったとの印象を受けている。株式追加取得の意図は何かを把握することが質問状の目的」と語った。
質問項目には、株式の追加取得後の経営方針や、第三者との連携の有無、買い付け資金と返済原資など7分野71項目にのぼり、野球協約違反問題も含まれている。
TBSは楽天からの回答を待ち、特別委は90日以内に買収防衛策発動の是非を判断する。その後、株主総会で買収防衛策の発動が承認されれば、楽天が20%を超えてTBS株式の取得を行った場合、楽天以外の株主に新株予約権を与えて、楽天の株式保有比率を引き下げる買収防衛策が実施される。
TBS株主総会の議案は5月15日の取締役会で決議される。楽天側の回答時期や特別委の審議によっては6月28日予定の株主総会に間に合わない可能性もあり、その場合は臨時株主総会開催も視野に入っている。
一方、楽天は同日、「受領した質問事項の内容を真摯(しんし)に検討し、できる限り誠実に回答する」とのコメントを発表した。
楽天の三木谷浩史会長兼社長は、特別委に出席して直接、自社の主張を伝えたい意向を示している。これに対してTBS幹部は「特別委の判断に委ねる」とTBSが拘束する意思がないことを表明しており、特別委で双方の主張が審議されることになりそうだ。
ただ、買収防衛策発動の場合、楽天は訴訟を検討する構えをみせているが、そうなった場合は解決に相当の時間がかかる。楽天が株式を手放すことになっても、時価1200億円を超える株式をどう処分するかなど多くの課題も発生する。
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