動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国企業「バイトダンス」の日本法人(東京)が、ツイッター利用者に報酬を支払い、指定する動画を一般の投稿かのように紹介させていた問題で、利用者に依頼する際に社名を隠していたことが、読売新聞の取材でわかった。同社から委託を受けた仲介業者を装うこともあり、トラブルになった場合に責任を免れる目的だった可能性がある。
日本法人が契約を結んでいたのは、匿名でツイッターのアカウントを運営し、フォロワーが10万人を超える「インフルエンサー」と呼ばれる人物ら。2年半にわたり、ティックトックの動画の拡散を依頼していた。バイトダンス日本法人が公表した謝罪コメントが掲載されたツイッターの投稿
動画に興味を持った人にアプリを利用してもらうのが狙いで、宣伝であることを隠す「ステルスマーケティング(ステマ)」の疑いが指摘されている。
関係者によると、日本法人の複数の担当者が関与しており、ツイッターのダイレクトメッセージ機能で協力者に接触。その後の連絡はビジネスチャットサービスを使っていた。バイトダンスの社名は明かさず、自らも偽名を名乗っていた。
相手から所属会社を聞かれると、「バイトダンスからサポート業務を委託された代理店」などと説明することもあったという。
協力者の一人は「担当者とは一度も会うことはなかった」と証言した。
バイトダンス日本法人の広報責任者は、読売新聞の取材に対し、担当者が身元を隠して依頼をしていたことについて「大変申し訳ない。担当者が社名を依頼先に明かすと不審に思われることを懸念し、自分の名前も『ネットにさらされると嫌だ』と思ってやったようだ」と説明。
今回の不適切な宣伝方法も含め、「中国バイトダンスの指示ではなく、日本法人で判断した」とした。