環太平洋連携協定(TPP)の交渉に参加する政府方針に対し、東北や四国、九州を中心とした23道府県議会が、国内農業への影響回避や情報開示の徹底を求める意見書や決議を3月の定例議会で可決したことが13日、共同通信の集計で分かった。参加反対を明言したのは岩手や山形、沖縄など7道県で、ほかは国益保護の方針明示を迫る内容が目立った。交渉参加を急ぐ安倍政権に対し、慎重な対応と説明責任を果たすよう地方側がけん制した形だ。
7道県はいずれも農業が基幹産業。「安価な農産物が大量に輸入され、農林水産業に壊滅的打撃を与える」(山形)、「食品加工や観光産業など地域経済に深刻な影響を及ぼす」(沖縄)といった懸念が相次いだ。岩手は「震災復興と原発事故終息の足かせにしかならず、断じて容認するわけにいかない」と厳しく指摘した。
残る16府県のうち、新潟は「国益をどう守るのか明確な方針を示し、国家戦略を確立すべきだ」と主張。秋田は、主食であるコメの関税水準を堅持するよう訴えた。京都、奈良は国民的議論を踏まえた対応を求めた。安倍晋三首相がTPP交渉参加を表明した3月15日夜以降に意見書・決議を可決したのは15府県で、首相の表明以前が7県。北海道は表明前と後にいずれも参加反対を可決した。
3月議会での可決がなかったのは、関東や中部、中国地方の一部などを含む24都府県。農業が地域の基幹産業ではないことや、政権与党の自民党系が多数を占めるため政府方針に正面から異議を唱えにくい事情などが影響した。