地球外生命体や未確認飛行物体(UFO)を巡る論争に、新たな一石が投じられた。
米国の情報機関の一つである国家偵察局(NRO)などでUFOを含む「未確認空中現象」(UAP)の分析に携わった人物が6日までに、政府機関がUAPに関する情報を違法に隠蔽しているなどと実名で告発。「地球外生命体はいる」とも断言している。
この人物は空軍の退役軍人で、2019~21年にNROのUAPタスクフォースに所属したデビッド・グラシ氏(36)。5日の防衛・科学ニュースサイト「デブリーフ」や、ニュース専門局「ニューズネーション」へのインタビューで、米政府やその同盟国、防衛請負業者が数十年前から現在に至るまで各地で墜落・着陸した「乗り物」やその破片を回収し、形状や材質などから「非人類由来」だと断定しているなどと指摘した。
同氏は、回収物から技術情報を解析するリバース・エンジニアリングも行われており、中国やロシアを指す「同等に近い敵対国」も競合してUAPからの技術取得を図っていると説明。「地球外生命体は存在する」と断じ、宇宙船とみられる物体から「パイロットの遺体」なども発見されていると主張した。
ただ同氏は、こうした物体の写真を見たことはなく、情報は主に他の情報機関職員らからの伝聞で、国家安全保障上の理由から証拠を公表することはできないとしている。
報道によると、米政府は2023会計年度(22年10月~23年9月)の国防権限法に基づき、UAPに関する分析や調査結果を議会に報告するよう求められているが、グラシ氏は、政府は重要情報を隠蔽していると主張。内部告発者の法的保護を定める制度の適用を申し立てている。
UAPを巡っては国防総省が昨年7月、専門の調査部署を拡充する形で「全領域異常対策室」(AARO)を設置。国防総省の報道官は6日、産経新聞の取材に「AAROは地球外の物体の保有やリバース・エンジニアリングに関わる計画が存在する、または存在したとの主張を実証する確認可能な情報を発見していない」とコメントした。(ワシントン 大内清)