V充電スタンド迷走 東北6県、目標達成見通せず

電気自動車(EV)などが使う充電スタンド整備をめぐり、東北の推進体制が定まっていない。6県は現在の計739基から4倍以上に増やすビジョンを作成したが、設置主体となる民間事業者の協力は担保されておらず、実効性が疑問視されているためだ。目標年度も決まっておらず、旗振り役となる国との足並みにも乱れが生じている。
 国の「次世代自動車充電インフラ整備促進事業」に従い、新設基数や理念を盛り込んだ「整備ビジョン」を県ごとに作成した。東北を含め、全国45都道府県が9月までに策定を終えている。
 東北各県のビジョン内容は表の通り。設置台数が最も多いのは岩手の681基で、現行の約6.2倍。最少の青森でも約2.8倍への増設が必要になる。6県合計の目標は、現行の約4.2倍に当たる3127基に上る。
 目標基数は各県が「幹線道路の距離」「駅や空港周辺」といった設置基準に基づき積み上げた。利用者ニーズは考慮されておらず、機械的に割り出された感は否めない。
 次世代自動車の普及に向け、国は全国で約4万基とみられる充電スタンドを2014度末までに10万基に増やす目標を掲げる。ただ、各県のビジョンは目標年次を定めていないなど、施策を裏打ちする内容になっていないのが実情だ。
 岩手県は「計画基数は道路距離などから算出したにすぎない。そもそも14年度中の達成を想定していない」(環境企画室)と説明する。
 公設のスタンド数には限界があり、増設は観光・商業施設、ガソリンスタンドといった民間業者が主体となる。一部施設で導入が進んでいるとはいえ、EV普及の遅れもあり、増設には懐疑的な意見が少なくない。
 ガソリンスタンドなどでつくる宮城県石油商業協同組合の菊地耕一専務理事は「現状では増設機運は盛り上がらない」と指摘。設置済みの宮城県南の大型店関係者も「利用者は伸びておらず、不足感はない」と話す。
 国は14年10月末までに完成した充電スタンドに対し、最大3分の2の費用を助成する制度を設けている。推進役となる東北経済産業局は「ビジョンの実現に向け、補助制度の周知や、業界団体への要請活動を続ける」と話している。

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