VWと提携解消、スズキに孤立の懸念 自動車業界は進む合従連衡

独フォルクスワーゲン(VW)との資本・業務提携の解消に、スズキは4年近くを費やした。この間、ハイブリッド車(HV)など、燃費性能に優れた環境対応 車の研究・開発に向け、自動車業界では合従連衡が相次ぐ。スズキは提携失敗により、巨額の資金が必要な技術開発で独自の戦いを余儀なくされる。

「自立して生きていくことを前提に考える」

鈴木修会長は30日の記者会見で、今後の戦略についてこう語った。確かにスズキはVWに提携解消を求めた2011年から独自で環境対応車の研究・開発を 進め、今月26日には小型車「ソリオ」に初めてHV技術を搭載した。鈴木会長は「技術者の努力で目的は解決できた」と自信を示す。

ただ、独自の環境技術を持つマツダは、5月にトヨタ自動車と包括的な業務提携を発表した。安全技術で強みを持つ富士重工業も、トヨタからHV技術の供与 を受ける。ホンダと米ゼネラル・モーターズ(GM)が燃料電池車の開発で協力するなど、巨額の費用がかかる技術開発をめぐり、自動車各社の合従連衡は激し さを増している。

スズキは1981年からGMと資本・業務提携していたが、2008年のリーマン・ショック後にGMが業績悪化に陥り、提携を解消した。新たな提携先として選んだのがVWだった。鈴木会長は「契約前と後の(対応の)違いが大きかった」とVWとの提携解消の理由を語った。

新たなパートナー候補としては、伊フィアットやトヨタが浮上する。ただ、新たな提携交渉は容易ではない。鈴木会長は「将来については慎重に考える」と語るが、自動車業界の流れに乗り遅れる恐れもある。 (会田聡)

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