「カネを持て余している」300社ランキング バイオや新興メディア系などが目立つ

本日1月25日に今年最初の給料をもらうビジネスパーソンは多いだろう。一方、給料日は会社にとって手元の現金がドッと出て行くタイミングでもある。

一般家庭もそうだが企業もカネが回らなければ、極端な話、経営破綻してしまう。そんな企業の財務健全性を示す指標がネットキャッシュ。現預金と短期 保有の有価証券の合計額から有利子負債を差し引いた額だ。企業の実質的な手元資金であり、これが多いと財務的な安全性が高いとされ、不況に対する抵抗力が 強いといえる。

東洋経済オンラインは、このネットキャッシュを金額ベースで豊富に持っている会社のランキングを「最新!これが『金持ち企業』トップ500社だ!」として2015年12月15日に配信し、各方面から多大な反響を得た。

今度はネットキャッシュをベースに少し切り口を変えたランキングをお届けしよう。集計対象としたのは約3500社の上場企業。ネットキャッシュを 100億円以上持ち、有利子負債依存度が10%以下の会社のうち、それぞれの「総資産」に占める割合(純現金総資産比率)の高い300社をランキングし た。

ネットキャッシュをより厳密にするため、顧客や取引先から前もって代金を受け取っている「前受金」も差し引いて算出した。季節によってキャッシュの出入りが大きく変動する業種・業態・企業もあるが、ネットキャッシュについては直近四半期を原則とした。

総資産とは現金、預金、受取手形、売掛金、棚卸資産などの「流動資産」、土地や建物、営業権、商標権などの「固定資産」、すでに対価の支払いが終わ り、得られる役務の効果が将来にわたって発言すると期待される「繰延資産」などの会社の資産をすべて合算した数値。会社を構成する財産の大きさそのもの で、細かく構成を見ていくと実態も分かる。いわゆる貸借対照表(バランスシート=B/S)に記載された数値である。

■「総資産の9割超がキャッシュ」は12社

純現金総資産比率は、会社を構成する資産のうち、いわゆる手元資金がどれぐらいの割合なのかを示す。高ければ高いほど、カネを貯め込んでいるともいえるし、ある意味では持て余し気味になっているともいえる。もちろん、財務的な安全性は高いだろう。

総資産の9割超がキャッシュになっているのは12社。1位の御園座は名古屋の老舗劇場で、それ以外で目立つのはリボミック(2位)、オンコセラピー サイエンス(3位)バイオテクノロジーやGunosy(10位)、比較.com(11位)など新興メディア系企業だ。要は土地や建物、生産設備が少ない 分、総資産に占めるキャッシュの割合が高くなりがちになっている。

手元資金が厚いのは安全ともいえるが、ネットキャッシュがかなり潤沢であるにもかかわらず、成長が止まっていたり、株価が低く時価総額が大きくなかったりする企業は、成長のための投資や株主の還元という意味で、手元資金を持て余しているという見方はできる。

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