「ゼビウス」など17タイトルの知的財産を開放

パックマン、ゼビウス、ワンダーモモ――。往年のゲームキャラクターたちは、オープン化で再び輝きを取り戻すか。

バンダイナムコエンターテインメントは、4月下旬から自社IP(知的財産)の一部オープン化を開始する。通常の版権許諾とは異なり、キャラクター監修などは行わず、簡単な企画審査のみでキャラクターを自由に活用できるようにする。

対象となるのは、「パックマン」「ギャラクシアン」「ゼビウス」「ワンダーモモ」といった、ナムコが保有する17のキャラクターおよび音楽、シナリオなど。現在調整を進めているIPもあり、今後さらに広がる可能性もありそうだ。

統合10周年でプランが浮上

2015年はバンダイとナムコが統合して10周年を迎える節目となる。「何か大胆なことをしたい」。社内でさまざまなプランを練る中で浮上したのが、数年前から流行り始めたUGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ)だった。

ただ、UGCはユーザーが自由にキャラクターを二次創作できることで露出が増える一方、品質管理が難しくなるためにブランドを毀損するなどのリスクをはらむ。

「キャラクタービジネスを長年手掛けてきた当社だからこそ、どうUGCに向き合うかを考えてきた」(バンダイナムコエンターテインメント)

今までキャラクターIPを“箱入り娘”として育ててきたが、「ますます多くの人に愛されるなら」と思い切って発想を転換。4月1日付でバンダイナムコゲームスからバンダイナムコエンターテインメントへ社名が変わることも、大きな後押しとなった。

まずは、スマートフォンゲームアプリをはじめとするデジタルコンテンツを念頭に置いて、オープン化に踏み切る。「過去のナムコ時代のキャラクターを社内でうまく活用できていない」という反省がある中で、国内のクリエイターへ開放することで新たな可能性を探る。

会社側からはデータを提供せず、クリエイターに新たにキャラクターやゲームなどを描き起こしてもらう。あくまでも二次創作にこだわる方針だ。

有 料配信する場合は、ライセンス収入ではなく、売上高からの手数料収入を考えているという。ゲームキャラクターたちがさまざまなデザインへ変貌を遂げなが ら、いずれはゲーム以外の便利アプリやアニメなどへスピンオフするのに期待がかかる。すでに3月31日のリリース後、同社には事業化についての問い合わせ が相次いでいるという。

知名度の高い休眠IPに着目

バンダイナムコホールディングスは、これまで数多のキャラクタービジ ネスを手掛けてきたが、意外にもすべての権利を自社で保有するIPは限られる。「太鼓の達人」や「アイドルマスター」といった人気IPでも、音楽やキャラ クターは外部クリエイターとの協業であるケースが多く、権利関係が複雑だ。

そこで今回のオープン化では、グループ傘下のバンダイナムコエンターテインメントが自社IPとしてすべての権利を保有し、かつ知名度の高い休眠IPに目をつけた。

どのキャラクターも1980年代にファミリーコンピュータなど遊ばれ、親しまれてきたものばかり。30代のかつてのファンに響きそうだが、人気化すれば若年層への広がりも期待できる。

社内で眠らせてきたIPは再び人気を取り戻し、新たな収益源として貢献するのか。同社にとって初めてのオープン化が軌道に乗れば、同様の取り組みが他社にも広がるかもしれない。

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