中国では知らない人がいない大人気番組お見合い番組「非誠勿擾(フェ・チェン・ウ・ラオ)」。1億人の視聴者がいるというモンスター番組として知られます。今回、初めて日本で特別編が収録されることになり、大阪・九州・北海道などで大規模なオーディションが開かれました。
中国では晩婚化が進み、結婚や恋人探しのためにお見合いをする人が増えています。2008年に、馮小剛(ファン・シャオカン)監督のお見合いを描写した恋愛映画『非誠勿擾』(日本名『狙った恋の落とし方』)が大ヒットしました。
『非誠勿擾』のロケ地だった北海道は、中国人観光客の聖地になり、北海道を訪れた中国人の人数は2008年の5万人から2015年には50万人に激増しています。
そんな中国の恋愛事情を背景に、映画会社と関係の深かった江蘇省のテレビ局が同名のお見合い番組「非誠勿擾」を企画しました。
結婚を希望する一般人の未婚の男女がオーディションで選ばれます。一つの番組に20人ぐらいの女性と10人ぐらいの男性が登場します。
番組では女性が男性を選びます。基本的なスタイルは、24人の女性たちが舞台の上に立ち、5人の男性たちが順番に自分の魅力をアピールします。
女性はランプで意思表示します。ランプが消えれば、男性は拒否されたことになります。その男性に好意を持てれば、ランプがともり続けます。ランプが全滅した時点で、男性は舞台から消えます。
番組の特徴は、女性たちが男性の前で、選ばない理由をはっきり「ダメ出し」することです。司会者のトークと心理学者のコメントなどと共に、番組の人気の秘密になっています。
司会の孟非(モン・フェ)さんも個性的です。坊主頭の彼は、かつてニュース番組のアンカーをつとめたことがあり、辛口コメントがファンを集めています。
「非誠勿擾」は2010年の開始以来、平均2.5%と中国では高い視聴率を誇っています。中国では3千以上のテレビ局があり、普通の家庭で同時に100ぐらいのチャンネルが視聴できます。
制作側の説明によると、単純計算で3千万人以上がテレビで見ているそうです。インターネットでの放送を加えると、視聴者は1億人以上になるそうです。
海外版も積極的に制作しています。これまではアメリカ、ドイツ、フランス、オーストラリア、イタリアなどなど十数カ国の海外特別編を制作してきました。
現地でオーディションを行い、中国語を話せる独身男女を選びます。国籍は問いません。選抜された男性のビデオを制作し、南京で番組の収録を行い、放送します。
海外特別版の番組内はその国の文化・料理・風景などを紹介するコーナーもあります。
実は4年前にも日本版は企画されましたが、当時は、日中関係がギクシャクしており、実現できませでした。今回、最近の関係緩和の機運と、来年の日中国交正常化45周年に合わせ、実現しました。番組には在日本中国大使館も協力しています。
日本で選ばれた女性18人、男性10人は11月に南京へ赴き、番組収録に挑戦します。本番では、中国国内で選ばれた女性6人が加わり、女性24人、男性10人が出演。上下2回に分けて放送される予定です。
国境を越えてどんな「ダメ出し」がされるのか。司会の孟非さんは「日本版は最も待ち遠しい企画だった。一番、努力してきた海外スペシャル番組です」と意気込みを語っています。