10代・20代のSNS世代、自粛で「スマホが嫌になった」の衝撃 人と会うこと、家族の大切さがわかった

新型コロナウイルスと「自粛」を経験して、働き方、暮らし方の大きな意識改革を余儀なくされた私たち。なかでも10代~20歳前後の若者には、これが初めての大きな社会変革の経験だったという人も少なくないようです。

beforeコロナ/afterコロナで、若者たちの意識はどう変わったのか? 高校生・大学生に尋ねてみたら、聞こえてきたのは意外にも「リアルの大切さ」を実感したという声でした。

コロナでむしろサボらなくなった

原田:今日は新型コロナの影響によって、若者の価値観や生活にどんな変化があったのかについて、高校生と大学生の皆さんの話を聞かせてもらいます。まずは高校生から聞いてみようかな。

さや(高校2年):暇な時間が増えたので、新しい習慣ができました。ダイエットとか、今まで中途半端にしかできていなかったことが継続できるようになった。ストレッチ系YouTuberのオガトレさんのチャンネルを観てやっています。あとは料理も、お母さんに教えてもらったり、YouTubeの料理動画を観たりして、毎日ではないですけどご飯を作ってます。いろいろなことが習慣づいて、かえって無駄な時間を過ごさなくなりましたね。

原田:コロナ以前のほうが、むしろ無駄な時間を過ごしていたってこと?

さや:自粛が始まった最初はやっぱりダラダラ過ごしちゃっていたんですが、いつ学校が始まるかもわからないし、生活が夜型になって朝起きられなくなったらいやだなと思ったんです。あと、学校で出された課題がうまく進められなくて、自分は時間の使い方が下手だということに気がついて。それから計画的にやろうと思って、だんだん時間の効率的な使い方を身につけられたのでよかったです。

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まゆか(慶応大学2年):私も時間の使い方が変わりましたね。通学に2時間くらいかかっていたんですが、それが無くなったことで、時間の余裕ができた。今までは、ちょっと勉強して、それから休んで、次は別のことをして、と細切れに時間を使っていたんですけど、まとまった時間が取れるようになりました。スキマ時間を作らないようにして、映画を観るとか、時間を長くとる必要があることを意識して始めてみたら、生産性がよくなったと思います。

こうたろう(上智大学2年):自分の時間が増えたのはよかったですね。僕はこんな機会なかなかないから、映画をとにかくたくさん観ようと思って、2か月で120本くらい観ました。考えが深められたかなと思います。

あき(慶応大学4年):以前はスキマの時間でLINEやインスタをなんとなく見ていたんですが、家にずっといるといつでもスマホを触れてしまうので、ずっとやっちゃう。これはよくないなと思って、デジタルデトックスじゃないですけど、スマホを見るのは夜だけと決めました。SNSで友だちとやっていた他愛ない会話も、相手を絞りました。そのぶん別のことに時間が使えるようになって、QOLも上がっていると感じています。

まゆか:サークル活動でも、いちいち顔を合わさなくても、オンラインでできることがあるとわかりました。対面でやることが無駄だとは思わないですが、オンラインの活用はもっと増えればいいなと。

たかし(埼玉大学3年):意外と、オンライン講義を喜んでいる人も多いですね。つまらない授業はZOOMで繋いで垂れ流しにしておいて、その間に別のことができるというのもいい。

原田:てっきり学生は自粛でダラダラしちゃっているかと思っていたけど、案外そうじゃないんだね。環境の変化に合わせて、時間の使い方もうまく変えているということだね。

人と会えることの大切さを実感

原田:学校には行けないし、授業や飲み会もオンライン化が進んでいる。友だちとの関わりや家族との関係にも変化があったんじゃないかと思いますが、どうでしょうか?

あき:確かにZOOMを使う時間は増えましたし、LINEやインスタなどデジタルのコミュニケーションツールの利用が増えて、最初は楽になったなと思っていました。身体的な不快感が無くなったなと。でも今は、逆に身体的なコミュニケーションが足りないという不全感を感じています。コロナ前はリアルで人に会いたいなんてあまり思ったことが無かったのに、今は人と会いたくなっています。

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たかし:僕も、もともと対面のコミュニケーションがそれほど好きではなくて、人と会うことの有り難みなんて考えていませんでしたが、変わりましたね。ダラダラと人と会って話していた時の貴重さを知りました。

こうたろう:僕は逆です。最初はデジタルばかりだとキツいなと思っていたんですが、今は慣れたのか、こっちのほうがラクですね。ZOOM飲み会も、最初は全員で1つのことしか話せないからつまらないなと思っていたけど、慣れてきたら1人ずつ順番に話す面白さもわかってきた。

原田:コロナ下で、よりデジタル環境に慣れた人、逆にリアルが欲しくなった人、両方いるということだね。

家事ってこんなに大変なんだ

原田:外出できないとなると、実家暮らしの学生は、家族といつも一緒ですよね。僕も、コロナ以前はほとんど外食でしたが、今はほぼ毎日家でご飯を食べるようになりましたし、子どもとも毎日遊ぶようになった。家族同士の理解が深まったなと感じます。みんなはどうですか?

こうたろう:僕は実家なので、家に帰ったらご飯があるのが当然だと思っていたんですけど、それは当然じゃないんだ、家事ってこんなに大変だったんだ、と気づきました。

しおり:わたしは就活、姉も在宅、両親はテレワークと、自粛期間中はみんな家にいたんですが、以前は見えなかった、「それぞれが頑張っている姿」が見えるようになったのがよかったですね。両親が仕事も家事も頑張っている姿を見て、親に任せてばかりいてはいけないなと。それから分担を決めて、みんなで家事をやるようになりました。

たくや(早稲田大学4年):僕も母親への見方が変わりました。犬の散歩、掃除、ご飯の用意、今まで母親が忙しい中でやってくれていたんだなということがわかって、有り難みを感じるようになった。

原田:実家暮らしの人たちは、普段は見えていなかった家族の苦労や貴重さがわかったということだね。

オンライン化、進まなくていい

原田:緊急事態宣言が解かれたけれど、これから何がしたい?

まゆか:私は、すぐには出かけないようにしようと思っています。まだ一ヶ月くらいは我慢して、あまり外に出ないように。すぐ出かけちゃうとまた同じことになりそうで……個人的にはゼミに出席して、論文を読むために図書館へ行きたいんですが、もう少し我慢します。

たかし:緊急事態宣言が出る前にやり残したことがいっぱいあるので、早く取り掛かりたいです。僕は仲間と映画を撮っているんですが、それを終わらせたい。解除されしだい、すぐ集まってやっちゃおうと思っています。

あき:僕も早く「3密」したいですね。それもなるべく多人数で。早く元の世の中に戻ってほしいです。オンライン化も進まなくていいです。通学にかけていた1時間の価値、対面で人と会うことの価値、不便さの価値をこの自粛で見直したので。

たくや:僕もとにかく居酒屋に行って飲み明かしたいですね。この数か月の鬱憤を晴らしたい。もういいからどこかの公園で飲もう! という声も、実行はしませんでしたが、自粛中に友人から出ていましたし……。

原田:ここは外に出たい人と、慎重派に分かれますね。そして、以前の生活が戻ってほしいという人と、新しい世界が来て欲しい人も分かれているかもしれない。

ただ、今回のコロナ騒動が、若者たちにポジティブな影響や変化もかなり与えているということが印象的でした。家族との繋がりや感謝を実感したり、時間の使い方が変わって、自分を深めるための取り組みを始める人がいたり、今まで出来なかったことができるようになったという人がいたり。

イレギュラーな環境でも、前向きに楽しんで過ごそうとする姿は、僕たち大人にとっても大いに参考になります。早く外に出て、思い切り好きなことができる時が来るといいですね。

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