1920年代当時 日本の平均寿命は男性42歳、女性が43歳だった

 ベストセラー『がんばらない』の著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、チェルノブイリの子供たちへの医療支援などに取り組むとともに、震災後は被災地をサポートする活動を行っている。その鎌田氏が、沖縄が長寿王国と呼ばれていた理由について解説する。
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 2月末、厚生労働省から日本人の平均寿命が発表された。長野県が男女ともに1位になり、全国一の長寿県になった。
 平均寿命は、5年に1度発表されるが、男性は1990年から連続で1位になり、80.88歳。女性部門はこれまで1位になれなかったが、今回は初の首位獲得で、87.18歳だった。
 それまで1位の座についていたのは、沖縄県である。古い記録を調べてみると、1920年代当時、平均寿命がまだ、男性が42歳、女性が43歳だった時代に、沖縄県の女性はただ1県だけ、50歳を超えていた。男性も全国2位。まさしく長寿王国・沖縄だった。
 沖縄は気候もよく、食文化が豊か。野菜は一年中手に入り、海に囲まれて魚も豊富に獲れた。日本人が肉を食べていない頃から、豚肉を食べる習慣もあった。
 江戸時代、中国に昆布を輸出するために、北海道で獲れた昆布が北前船に乗って沖縄に運ばれ、沖縄から中国に渡った。その昆布が沖縄に少し下ろされ、昆布で出汁をとる文化が発達したといわれている。
 昆布出汁を使うから、沖縄県は塩分の摂取量が全国一少なかった。これら複数の要因が重なって、女性が長寿県1位に輝いていたと分析されている。

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