いよいよ暮れも差し迫った感のある2016年。ORICON STYLEでは、今年のエンタメシーンの総決算として、お茶の間に新しい笑いを提示してくれた芸人が多数登場する『2016年ブレイク芸人ランキング』を発表。見事1位に選ばれたのは、金髪に全身真っ赤の衣装がトレードマークのカズレーサーと、紫の衣装で体重130キロの巨体・安藤なつによる2人組【メイプル超合金】。文字通り“赤い彗星”のごとくお笑いシーンを席巻。決して“一発屋”では終わらない確かな実力を誇示してくれた。
■見た目の派手さとは異なるどの番組にもハマる汎用性の高さ
1位に選ばれた【メイプル超合金】のブレイクは、お笑いシーンの勢力図に変化をもたらすほどのインパクトだった。2012年8月に結成した彼らは、昨年末に開催された『M-1グランプリ2015』で初の決勝進出。一気に知名度を上げた彼らは今年に入り、あらゆるバラエティ番組に出演。彼らは、何か有名な一発ギャグやネタがあるわけではないのに、一体どこがウケたのか?
「ネタよりも、キャラが目立っている。キャラ自体が面白いので、そこがほかの芸人とは違うように感じた。トーク力も高く場を回す力もある」(新潟/10代・女性)。実際に、ネタ番組よりトーク番組への出演やピンでの活動が多いのは、キャラウケしている証明だ。カズレーサーについては、「頭もいいし万能」(埼玉/30代・女性)、「多くのクイズ番組に出演している」(千葉/20代・女性)と、同志社大学卒の高学歴芸人として『Qさま!!』など数々のクイズ番組への出演も高評価。また、ドラマ『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』(テレビ東京系)に出演するなど、女優としても活躍する安藤なつについても「ピンでもキャラを発揮し始めてる稀有なケース」(宮城/40代・男性)、「コンビでも1人でも沢山の番組に出ている」(静岡/10代・女性)と、まったく違った個性を活かしたピン活動が、ブレイクに拍車をかけたといえる。見た目の破壊力が凄まじい2人だが、決してインパクトだけではなく実は奥が深い……そのギャップが魅力となっているようだ。
■下半期に彗星の如く表れたピコ太郎が“世界”を席巻!
2位は、下半期に入って一気にブレイクした【ピコ太郎】がランクイン。ジャスティン・ビーバーがTwitterで「PPAP」を紹介したことをきっかけに、YouTubeの再生回数が加速。YouTubeの週間再生回数ランキング『ミュージック全世界トップ100』(集計期間9/30~10/6付)で日本人初の世界一。さらに、ビルボードチャートトップ100にランクインしたもっとも短い曲としてギネス記録に認定、外国人記者クラブで会見を行うなど話題にこと欠かない。
「YouTubeで1位を取ったのと、ビルボードにランクインしたのは凄い!と思います」(青森/40代・男性)。特にハロウィーンにかけての勢いはめざましく、「ブレイクの爆発度で言ったら他とは段違い」(東京/40代・男性)、「InstagramとかTwitterとかで、真似している人たちの動画を見ることがすごく多い」(福岡/20代・女性)と、誰もがネットやSNSによる口コミ効果の大きさを感じたようだ。俗に言えば一発ギャグとリズムネタの合わせ技ではあるが、「単純な英語とスローテンポダンスで見る人を中毒に陥れた」(東京/30代・女性)と、ネタの個性にも評価。シュールながらシンプルなテイストと、プロデューサー=古坂大魔王によるキャッチーなサウンドが相まって、中毒者が続出したことがブレイクの要因になった。
■“ハゲ=モテない”の定義を覆す活躍
3位には【トレンディエンジェル】がランクイン。「M-1グランプリを取ってからの仕事量がかなり増えていると思う」(愛知/30代・女性)、「M-1優勝から、さらに勢いが増した」(東京/40代・女性)と、昨年のM-1グランプリ王者になって以降のコンスタントなテレビ出演が認知を広めた。また「色んなジャンルのテレビ番組で見たから」(千葉/10代・女性)、「バラエティ番組で頻繁に見る機会があり、CMでも活躍していた」(滋賀/30代・男性)と、ジャンルを問わない幅広い活躍を挙げる声。
今年は、文化放送『トレンディエンジェルのPePePeラジオ』のレギュラー放送のほか、CMやドラマへの出演、『ウチくる!?』『おしゃれイズム』(共に日本テレビ系)など多彩な番組に出演し、フリートークの面白さとポテンシャルの高さで引っ張りだこに。また、斎藤のギャグ「斎藤さんだぞ!」や「ペッペッペ?!」は、「子供たちにも人気」(山形/30代・女性)、「斎藤さんが出演されていない時も他の芸能人が真似している」(大阪/30代・女性)と、子どもから大人まで幅広く浸透していることも人気の要因だ。
■ブレイク芸人の必須事項はやはり“リズムネタ”なのか?
そのほか、5位にはRADIOFISHとして発表した「PERFECT HUMAN」がリズムネタの枠を越えて人気になり、再ブレイクを果たした【オリエンタルラジオ】。ユーザーの意見も「「PERFECTHUMAN」は面白かったし、芸人という枠を越えて活躍している」(北海道/10代・男性)、「楽曲「PERFECT HUMAN」が曲とダンスが格好よくてヒットしたから」(大阪/50代・男性)。最初のブレイクネタである「武勇伝」に始まり、再び「PERFECT HUMAN」というリズムネタに回帰。何度も這い上がるバイタリティに感服した人も多いだろう。
また、苦節20数年でついにお茶の間に浸透した【永野】が9位に。奇しくもピコ太郎やオリエンタルラジオと同様リズムネタ「ラッセンが好き」でブレイク。「あれは強烈で忘れられないから」(福島/20代・女性)など、意外に女性ユーザーから人気。ももクロやAKBなどのアイドルとの共演も後押しし、永野をきっかけにラッセンの再ブームも起きたことも印象的だった。。
■横澤、平野、ゆりやん…女性ピン芸人も豊作の1年
また、今年は女性芸人の躍進も顕著だった。4位(女性芸人部門では1位)の【横澤夏子】は、細かすぎるものまねが話題となりバラエティ番組に進出。「存在感がすごいし間違いなく笑いをとるから驚き」(愛知/10代・女性)、「トーク力からもバラエティ番組でよく見かけた」(千葉/20代・女性)と、ネタ同様独自の視点から繰り出すコメントや返しの上手さで、バラエティ番組には欠かせない存在になった。
6位には、バブルネタでブレイクした【平野ノラ】。「バブル時代が懐かしく面白く、一番ネタとして見れる芸人」(兵庫/40代・女性)と、かつてバブル時代を謳歌した世代に刺さっただけでなく、「1度見て印象に残る。衣装やバブル時代を思わせるような髪型、化粧もインパクトがある」(福岡/10代・女性)など、バブルを知らない世代にも新鮮に受け入れられたようだ。7位の【おかずクラブ】は、「2人のバランスが、良く、色々な番組にコーナーを持っている」(福岡/50代・女性)など、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)レギュラー出演もあってか、主婦層からの支持が増加。他、Instagramのフォロワー数や海外ライブの成功など、芸人の枠を越えた活動に支持が集まった8位の【渡辺直美】。「すい星のごとく出てきた」(広島/40代・男性)と注目の【ゆりやんレトリィバァ】が10位にランクインした。
今年ブレイクしたからと言って、一発屋で終わらないとは限らないのが芸人の世界。「芸人は2度売れないといけない」。テレビ業界や芸人の間でよく言われる説だ。今年ブレイクを果たしたニューフェイスは、芸人としての真価が問われる、来年以降の活躍に注目だ。
【2016年 ブレイク芸人ランキングTOP10】
1位 メイプル超合金
2位 ピコ太郎(古坂大魔王)
3位 トレンディエンジェル
4位 横澤夏子
5位 オリエンタルラジオ
6位 平野ノラ
7位 おかずクラブ
8位 渡辺直美
9位 永野
10位 ゆりやんレトリィバァ
【調査概要】
調査時期:2016年10月12日(水)~10月17日(火)
調査対象:計1000名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代、20代、30代、40代、50代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ