恒例となった感もある年間新車販売台数ランキングを紹介。まずは2019年の登録車販売台数のトップ10を自動車評論家
渡辺陽一郎氏が考察。続いて軽自動車も合わせたランキングを俯瞰し、ランキングから見えてくるもの、ランキングを眺めているだけでは見えてこないものを浮彫りにしてみたい。
■2019年国内メーカー年間販売台数
・1位 トヨタ 158万7636台(154万765台/103.0%)
・2位 ホンダ 71万2894台(73万3096台/97.2%)
・3位 スズキ 69万1270台(71万152台/97.3%)
・4位 ダイハツ 61万5240台(64万6781台/95.1%)
・5位 日産 55万8249台(60万3839台/92.4%)
・6位 マツダ 20万3462台(22万1281台/91.9%)
・7位 スバル 13万1261台(14万8453台/88.4%)
・8位 三菱 10万304台(10万1474台/98.9%)
・9位 いすゞ 8万1442台(7万6747台/106.1%)
・10位 日野 6万9791台(7万811台/98.6%)
・11位 三菱ふそう 4万1272台(4万2348台/97.4%)
・12位 UDトラックス 1万388台(9974台/104.2%)
※日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会の公表データをもとに作成。上記台数は特殊車・トレーラーを除く登録車と軽自動車の合計。また()内は2018年の販売台数/2018年比
●【画像ギャラリー】販売台数/前年比付き! 2019年登録車販売台数ランキングをギャラリーでチェック!!
※本稿は2020年2月のものです
文:渡辺陽一郎、ベストカー編集部/写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年3月10日号
■販売トップ10かつ前年比アップ車は、やはりいいクルマか?
(TEXT/渡辺陽一郎)
下の表は登録車の2019年車名別販売トップ10。売れ筋車なわけだが、そのなかでも前年比増で売れゆきを伸ばしたのが、プリウス、シエンタ、カローラ、ルーミー、フリードだ。これら5車種はそれだけいいクルマなのか?
* * *
販売が好調で対前年比もプラスの車種は、多くの人たちが買っている以上、優れた商品と判断される。
ただし需要が多いのに、それに応える車種が少ない場合は、実際の商品力以上に売れゆきが伸びることもある。また、販売力の強いディーラーが扱う車種も、商品力のわりに販売台数が多い。
このような車種を選ぶ時は、ライバル車と乗り比べて、商品力を客観的に判断することが必要だ。
それを最も強く感じるのはルーミーだ。トヨタルーミー&タンク/ダイハツトール/スバルジャスティの4姉妹車に属するが、ルーミーは販売力の強いトヨタ店とカローラ店が扱い、フロントマスクも4姉妹車のなかで存在感が最も強い。そのために売れゆきを伸ばした。
だがルーミー4姉妹車は、N-BOXやタントなど背の高い軽自動車の急増に対抗すべく、約2年間で開発したから、安定性、乗り心地、ノイズ、後席の座り心地などに不満が伴う。
購入する時には、ライバルのソリオを相手に販売店の試乗車を乗り比べて判断したい。
コンパクトミニバンのシエンタとフリードも、需要が多いわりにこの2車種しか用意されず、商品力以上に売れゆきを伸ばした面がある。
ミドルサイズミニバンのヴォクシー、ステップワゴン、セレナも試乗して商品力を見極めたい。
■2019年の新車販売も軽自動車が席巻!
●3年ぶり前年割れも3年連続の500万台超え
2019年の登録車と軽自動車を合わせた国内総新車販売台数は519万5219台。前年比1.5%減と、3年ぶりの前年割れとなった。
2019年はカローラをはじめ、ニューモデルやマイナーチェンジ車の投入が相次いだことから3年連続で500万台超えをキープ。
一方で、消費増税に加え、自然災害も重なったことなどで10月以降は需要にブレーキがかかっている。また、トヨタはカローラやRAV4などの新型車が販売台数を伸ばして前年を上回ったが、そのほかの乗用車メーカーはいずれも前年割れ。
特にスバルは2018年の完成車検査不正問題で生産や新型車の投入計画に影響が出たことで、販売台数が2018年から12%近くも落ち込んでしまった。
2019年のモデル別新車販売台数どうか? 下の表が、登録車と軽自動車を合わせた国産全182車種の年間販売台数ランキング、そのベスト20。
そのなかでトップに立ったのは24万7770台が売れた軽自動車のN-BOX。N-BOXは2017年にフルモデルチェンジしてから3年連続での首位獲得となる。前年比105%と1年前より販売台数がアップしている。
続く2位はタント、3位はスペーシアと、昨年に引き続いて軽自動車のスーパーハイトワゴンが表彰台を独占。近年の軽自動車人気の根強さは相変わらずだ。
登録車でトップに立ったのは総合4位のプリウスで、これは2年ぶりの首位奪還。プリウスは2018年12月にマイナーチェンジしたこともあって、2019年は着実に売れゆきをアップさせた。
そのほか、2019年の販売ランキングで注目なのは2018年の74位から42位へと大きくランクアップしたジムニーだろう。
2018年にフルモデルチェンジした現行型は売れゆきを伸ばして前年比209.6%。納期も長くなっている。