SNS上で「モザイクなし」動画の販売を謳い、自ら撮影したわいせつ動画を販売していたOLが逮捕された。取材を進めると、小遣い稼ぎで自らの裸体の映像を売る女性たちの実態が見えてきた。
【写真】「過激すぎる価格表」や「サンタコスやナース衣装」姿をSNSで披露した木村容疑者
6月末に「れいにゃ」こと木村雪乃容疑者(21・会社員)ら5人が、自ら撮影した無修正のわいせつ動画などを販売したとして警視庁に逮捕された。
木村容疑者が「れいにゃ」としてツイッター上にアップしていた料金表によると、さまざまなパターンで自撮りしたわいせつ動画などを、3000~4000円で販売していたとみられる。動画だけでなく、使用済み下着や履き古した靴、ボトル入り唾液なども販売していたようだ。木村容疑者の活動をチェックしていたという男性が語る。
「れいにゃは2年ほど前から、動画から所持品までまめに販売していました。DMのレスポンスも早く、動画以外の物品の受け渡しはレターパックでキレイに梱包されていた。フォロワーのコスプレのリクエストにも応じ、人気も高かっただけに、警察に目をつけられたのかなという印象です」
今回の事件で逮捕された5人のうち、木村容疑者を含む2人が会社員。報道によると、木村容疑者の稼ぎは約2年間総額170万円ほどで、「会社の給料だけではお金が足りなかった」と供述しているという。捕まる前には、〈皆さんのおかげで運転免許取りに行けるのも同然です、、〉ともツイートしている。
摘発された5人のうちの1人である岡本菜々容疑者(26・無職)は警察の調べに対し「一番てっとり早く、自宅でできるから自分を撮影した」と話していた。自宅を訪問すると、母親は「本当に私、わからないんです。全くわからなくて、突然のことだったから……」と困惑した様子で口をつぐむばかりだった。
PayPay流通で増加
今回の事件は氷山の一角で、こうした素人のわいせつ動画の販売は、ツイッター上で密かに広まっている。実際に購入した経験のある男性(48)はわいせつ動画を販売する女性と話したこともあるという。
「動画を購入してから『会いたい』と伝えると、『電話なら』ということでインスタグラムの通話で話をしました。女性は高卒で、札幌では求人も少ないと。自宅でお金を稼げる方法を考えていたところ、友人からSNSでの動画販売を勧められたと話していました。れいにゃの逮捕以後、ツイッター上からは同様のアカウントが一気に消えましたね」
本誌・週刊ポストはこれまでにも、有料会員制サイトなどで素人女性がこうした動画を販売している実態を取り上げてきた。ファンサイトにわいせつ動画を投稿していた女性は月に100万円を稼ぐこともザラだというが、それに比べると木村容疑者の「2年で170万円」という収入はそれほどの金額ではない。
素人のアダルト動画販売に詳しいライターの河合桃子氏はこう言う。
「正規の動画配信サイトと違い、ツイッターでの販売は契約をしたり口座を登録したりする必要がなく、撮って出しですぐに売れて、うまくいけばその日に送金を受けられる。PayPayが流通して以降、この手法で動画を販売する素人女性は増えました。サイトを介さないので無修正の動画を送ることができるのも、一定の購入者がいる理由でしょう」
グラディアトル法律事務所の若林翔弁護士は、「無修正動画の頒布は、逮捕の直接的な原因になる」と話す。
「逮捕容疑は『わいせつ電磁的記録等送信頒布』。『わいせつ』の基準はあいまいですが、無修正であることが逮捕のひとつの基準とされている。
一方で、無修正動画のダウンロードや所持については、刑法に処罰規定はない。ダウンロードした動画を他人に見せるためにアップロードするのは避けましょう」
安易な小遣い稼ぎで始めたわいせつ動画販売。その代償は極めて大きかったと言える。
※週刊ポスト2023年7月21・28日号