3密回避へ喫煙所の窓開放 北海道庁 「受動」防止に矛盾と批判も

 北海道庁敷地内で職員らが利用するプレハブ小屋の喫煙所が、新型コロナウイルス感染拡大予防で、密接・密集・密閉の「3密」を避けるため、窓やシャッターを開け放っている。民間で喫煙所閉鎖が相次ぐ中、4月に受動喫煙防止条例の一部が施行されたばかりの道の庁舎でたばこの煙が漏れ出る本末転倒の状況に批判の声が上がっている。

<たばこを吸っていると新型コロナで重症化しやすいのは本当か>

 2008年4月に道庁内が全面禁煙となり、10年1月に敷地外に喫煙所を設置。道議会庁舎の改修に伴い18年6月に現在の位置に移動した。通常は換気扇を回し、周囲に煙が流れない北と西側の窓を開けて利用していた。3月中旬、新型コロナウイルス感染拡大で「3密」空間の危険性が指摘され始め、道職員厚生課は喫煙所の2枚あるシャッターのうち1枚を開放。普段より窓を開け、内部での私語を慎むよう注意喚起している。8日の昼休みには続々と職員が集まり、室内はいっぱいに。プレハブの外でたばこに火を付ける人の姿もあった。

 20年4月に全面施行された改正健康増進法では、受動喫煙を防止する義務を管理者らに課している。全面施行に先行して、19年7月から全国の学校や行政機関の庁舎などで敷地内全面禁煙が進められ、道内でも道受動喫煙防止条例も施行され、市民の健康を守る動きが加速する。

 道職員厚生課によると、プレハブ内外で区画を明確にし、現在も工事中である新庁舎の前で利用者の往来がない場所に設置しているとし、「煙などの苦情などは届いていない。5月の閉鎖が決まっており、喫煙する職員が禁煙する準備期間」と説明する。  一方、JR北海道では3月5日から、感染拡大防止のため10駅の喫煙所を一時利用停止にした。赤れんがテラス(中央区)でも6日、館内に2カ所ある喫煙所を閉鎖した。

 ある道議は「煙が外に漏れ出て、受動喫煙の防止に矛盾している。閉鎖する施設もある中、道の対応に問題がある。知事はどう考えているのか、改正法の規定に反するのではないか」と眉をひそめた。【高橋由衣】

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