世間を騒がせるニュースは、連日尽きることがない。ウクライナ侵攻、統一教会、芸能人による性加害報道ーー。それらをわかりやすく解説し、ときに鋭く追及するのが、ニュース番組やワイドショーのコメンテーターだ。彼らのコメントいかんで、注目度も変わってくるという。民放局のプロデューサーがこう語る。
「情報番組でいちばん気にするのは視聴率ですが、最近はアーカイブが普及し、視聴者の率直な反応がわかりづらい。そこで、いま現場が注目しているのが、『ネット記事』。出演者の方がコメントした内容がタイムラグなしにネット記事になると、それをきっかけにアーカイブを見に来る方も多いんです。人を貶(おとし)めるような発言は許されませんが、本音では『話題になってより多くの記事になってほしい』という気持ちもある。そんな、ネットで話題になる発言ができるコメンテーターは、番組にとって非常に重宝する存在です」
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そんななか本誌は、大手広告代理店が調査した「好きな・嫌いなコメンテーター」ランキングの資料を入手。
浮かび上がってきたのは、辛口コメンテーターよりも正直な視聴者の評価だった。
高評価ランキングで1位を獲得したのは、『ひるおび』に出演中の八代英輝。
元裁判官、国際弁護士という経歴を生かし、2004年の『サンデージャポン』(TBS系)出演を皮切りに、多くの番組でコメンテーターを務めている。右寄りの発言が目立つが、「たいていの事柄にわかりやすく答えたり、知識人なのに視聴者目線で専門家に質問したりしていて好感が持てる」(44歳・女性)、「韓国、中国、ロシアに対して、ほとんどの日本人が持っているストレスを代弁している」(32歳・男性)など、男女すべての年代から満遍なく得票している。
2位は弁護士で元政治家の橋下徹。
『めざまし8』に出演、よく炎上している印象だが……。「内容はともかく、発する言葉に力がある」(59歳・男性)、「専門家たちが難しくしているところを論破してくれるさまが爽快」(42歳・男性)など、歯に衣着せぬ舌鋒が視聴者の心を掴んでいるようだ。
4位は選挙特番でもお馴染み、元NHK報道局記者でジャーナリストの池上彰。
『ワイド!スクランブル』のゲストコメンテーターだ。「池上さんが解説するだけで説得力が増す」(28歳・女性)、「理論構築が見事」(31歳・男性)など、わかりやすい解説が人気だ。
目立ったのが、スポーツ界から6人がランクインしていることだ。
トップだったのは、3位に入った元プロ野球選手の長嶋一茂。「一時期はお坊ちゃんキャラ、ポンコツキャラとしてお馴染みでしたが、それまでのイメージとのギャップが高得票に繋がったようです」(広告代理店担当者)。
10位にランクインしたのは松岡修造。「本気の姿勢が伝わってくる。選手の本音や今までの苦労をちゃんと引き出している」(33歳・女性)と、名物の熱血キャラが人気だ。
そのほかにも、8位に元阪神の韋駄天・赤星憲広、18位にサッカー元日本代表の内田篤人などがランクインしている。それぞれ「元プロ野球選手のなかでは珍しく、専門外でもコメントできる」(35歳・男性)、「サッカーだけでなくいろんなスポーツにも目を向けている」(19歳・男性)と、プロとして活躍してきた競技以外もレポートでき、さらに的確なコメントが評価されているようだ。
広告代理店担当者は、「視聴者に受け入れられるには、いい意味での “ギャップ” が必要」と話す。
「ここ最近の報道番組や情報番組に出演するコメンテーターには、専門性よりも、エンターテインメント性が求められています。具体的には、見た目はもちろんですが、幅広い話題についていける柔軟性が視聴者から求められています。さらに、少し “天然” なキャラクターのほうが『意外にちゃんとコメントができる』など、視聴者がギャップを感じて上位にランクインする傾向があるようです。専門性の高いコメントが必要な番組は、むしろBSや配信系にニーズが移っています」
*インターネットによる事前登録者から性別と年代をランダムに3000人を抽出し、好き&嫌いなコメンテーターを3人挙げてもらい、1位=3ポイント、2位=2ポイント、3位=1ポイントとして集計した