4年連続で来店客数減少 消えゆくコンビニの担い手を救済するには?

これまで右肩上がりで売り上げ、店舗数を伸ばしてきたコンビニ業界が、いま大きな曲がり角に差し掛かっている。帝国データバンクの調査によるとコンビニ店の倒産は、昨年1年間で41件と前年の24件を大きく上回り、2000年以降で最多だった17年の45件に次ぐ件数となっている。

日本で相次ぐ24時間営業廃止 ドイツの働き方と比較すると

 コンビニ店舗は昨年7月にセブン―イレブンが沖縄県に出店したことで全国47都道府県に店舗を構えた。しかし、日本フランチャイズチェーン協会がまとめた19年末の全国のコンビニ店舗数は5万5620店で前年比123店減った。同じく既存店の来店客数は4年連続で前年割れとなっている。コンビニ店の倒産急増、客離れの背景を帝国データバンク情報統括部ではこう分析する。

「倒産したコンビニ店の多くは大手コンビニブランドのフランチャイズ加盟店で、近隣に同業店の開業が相次ぎ、同業店同士の競争激化で客の奪い合いになっている。人手不足で賃金水準の上昇が続き、人件費負担に耐えられず倒産したコンビニ店も少なくありません」

 そしてFCオーナーたちを動揺させたのが、昨年2月に大阪府東大阪市のセブンFC店が、人手不足で24時間営業をやめ、オーナーと本部が対立した事件だ。これまで横のつながりがなかったオーナーたちが、事件をきっかけに、共通した厳しい労働環境にあることを理解することになったのである。

 経済産業省は同年3月に急きょコンビニ店を調査した結果、オーナーの6割が従業員の不足と回答、また休日が週1日以下のオーナーが9割もいることが分かった。経産省はさらに24時間営業の見直しなど、コンビニのオーナーの苦境を受け「新たなコンビニのあり方検討会」(座長・伊藤元重学習院大学教授)を6月に立ち上げた。同検討会メンバーの東レ経営研究所の永井知美チーフアナリストがこう指摘する。

「東大阪市のセブン店の24時間問題が表に出たことで、本部が儲かっているのに対しFCオーナーが想像以上の厳しい労働環境にあることを知り驚きました。高齢化社会が進みコンビニ店の業態は必要不可欠ですが、同業店の飽和状態に加えドラッグストアなどの相次ぐ出店で労働環境はさらに厳しくなっています。これまで本部はバラ色の成功モデルを提案し加盟を持ちかけてきました。しかし実態の厳しいことが分かったことで今後もFC店は減り、オーナーのなり手がいなくなる懸念がでてきています」

 コンビニ大手はFC店に対し営業時間の柔軟化、加盟時の基本費用の半減といったロイヤルティー契約の見直し、またIT投資でレジの無人化といった対策を検討している。

 すでにコンビニ大手の本部だけが儲かる時代は限界にきている。既存店への支援を優先していかなければ、コンビニの担い手はいなくなる。

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