40代ロスジェネの年収は10年前のバブル世代より50万円も低い

<大学新卒時と就職氷河期が重なったロスジェネ世代では、40代になった現在も多くの人の雇用が不安定なまま>

2019年、令和元年も間もなく終わる。今年の明るいニュースは、ロスジェネを対象にした支援が本格的に始まったことだ。ロスジェネ(失われた世代)とは、学校卒業時が就職氷河期と重なった世代を指す。新卒一括採用の慣行が根強い日本では、後から挽回を図るのが難しく、現在に至るまで雇用が不安定なままの人が数多くいる。

ロスジェネも40代になり、この世代が老後を迎える将来を想定して、政府は危機感を強めている。学校を卒業した時期でここまでの割を食うのは不公平だと、正社員の中途採用の促進など国としても本格的な支援に乗り出すことになった。当該世代に対象を限定した採用試験を行う自治体もあり、口火を切った兵庫県明石市の試験では3人の募集に対し1635人もの応募が殺到した。救済へのニーズがいかに高いかが分かる。

ロスジェネの具体的なイメージは、学校卒業者の進路統計をたどることで得られる。<図1>は、大学卒業者の就職率と不安定進路者数(進学も就職もしない)の推移を描いたものだ。

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就職率はバブル期で高かったが、平成不況の深刻化に伴い低下し、今世紀の初頭にボトムになる。2000年春の卒業生では63.7%だった。2004年以降回復し、リーマンショックの時期に下降するものの、その後は上昇を続けて今年春には90.0%でバブル期を越えている。進学でも就職でもない不安定進路者の数は、これとちょうど逆の動きを示している。

平成以降の30年弱の推移だが、時期によってこうも違うものかと驚く。1999~2004年では大卒者の就職率は7割を切り、毎年15万人以上の不安定進路者が出ていた。この時期に卒業した世代がロスジェネということになる。1976~81年に生まれた世代だ。

この6年間の大卒不安定進路者の合計は100万人だが、他の学校卒業者も含めたら300万人は下らないだろう。これだけの人が、40代なった今も不安定な雇用実態にあるとしたら、これは深刻な問題である。支援へのニーズが大きいのも頷ける。

労働者の稼ぎにも、世代間の差が出ている。バブルとロスジェネの所得中央値(男性)を、4つの年齢段階で比較すると<表1>のようになる。

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20代後半ではバブルが346万円、ロスジェネが324万円で、この段階で22万円もの差がついている。30代前半では65万円、30代後半では75万円、40代前半では50万円の開きだ。ロスジェネでは、非正規雇用の率が高いためだろう。

4つの年次の差の合算は207万円で、単純に考えると40代前半までの20年間の所得総額は1000万円以上違っていることになる。退職金も含めた生涯賃金だと、両世代では3000万円近くの差になるかもしれない。

ロスジェネ支援のため、今後3年間で650億円以上もの財源を確保する方針が示されている。人数的に多い当該世代の社会参加を促すことは、人手不足に悩む社会にもプラスになる。

成熟社会になるにつれ「公」の仕事の比重が増すが、日本の労働者の公務員比率は各国で比較すると低い。民間が好景気なこともあり、新卒の受験者は減少傾向だ。ロスジェネを活用しない手はなく、当該世代限定の採用試験を行う自治体が続出しているのは評価できる。

こういう取り組みを広げることが、長らく続いてきた硬直的な日本の雇用慣行を変革することにもつながるのではないか。

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