宮城県内で今夏、スズメバチの業者への駆除依頼が大幅に減っている。スズメバチは気温が高くなるとどう猛になるとされ、駆除業者にとっては繁忙期だが、あまりの酷暑に「ハチにとっても暑過ぎるのかも」と駆除業者。今後、暑さが落ち着くにつれて動きが活発化する恐れもあり、注意を呼びかける。 【写真】スズメバチを駆除する佐藤さん ■暑さ落ち着く今後に活発化も 角田市の江尻排水ポンプ展示館で8月29日にあった駆除作業。市地域振興公社から依頼を受けた大河原町のスズメバチハンター佐藤進さん(46)は、2階の軒下にあった約50センチのキイロスズメバチの巣と、生け垣に隠れていたコガタズズメバチの巣を駆除した。 佐藤さんは「駆除することができて一安心」と汗を拭いながら、今夏のスズメバチの行動の変化を口にした。丸森町での駆除作業では、ハチが巣ではなく建物の陰に固まって休んでいたという。「切り株の中など日に当たらない場所に営巣するケースが増えている」 駆除の依頼件数は大幅に減った。例年、スズメバチの活動が盛んになる8月は駆除の依頼が最も増える時期。昨年は約80件だった依頼が、今年は約30件にとどまった。 8月の暑さは桁外れだった。仙台の平均最高気温は33・2度で、平年を5・0度上回った。平均気温も平年比で4・2度高い28・6度。いずれも観測史上最高を記録した。 「スズメバチも暑過ぎて飛びにくいのでは」とみるのは、仙台市の駆除業者「シールドライフ」代表の宍戸幸久さん(46)。8月の駆除件数は例年の半分程度。軒下などに営巣する種類が、壁の中に巣を作るケースも多かったという。 「こんなことは初めてだ」と宍戸さん。巣が大きくなる9月は書き入れ時というが「この暑さなのでどうなることやら」と話した。 暑さが次第に落ち着いてくれば、スズメバチが活発化する可能性もある。駆除を依頼する際の注意点として佐藤さんは「広告と請求額が大きく異なる業者もある。自治体などに相談し、地元業者に依頼することを勧めたい」と強調した。