50代への“退職勧奨”…真綿で首を絞めるリストラ手法とは?

「逃げ切り世代」と呼ばれたはずの50代の足元が揺らぎ始めている。今年6月、損保ジャパン日本興亜が介護事業を手がけるグループ企業への配置転換も含めた4000人の人員削減を発表し衝撃が走った。50代に今、一体何が起ころうとしているのか?

◆50代を狙う最新リストラ手法

 コンプライアンスが叫ばれる昨今、さすがに恫喝まがいのクビ切りはできない。代わりに「真綿で首を絞めるようなリストラ手法がトレンド」と人事コンサルタントの林明文氏は話す。

「一番ハードなのが“退職勧奨”で、『もう会社に居場所がないから、お金をあげるので辞めないか?』というもの。外資系企業や中小企業では普通に行われています。だいたい3年連続で評価が低いと直接声がかかる。一方、一番ソフトなのが“早期定年制”で『お金もあげるし、再就職のサポートもするので希望者を募る』というやり方。その中間に、“早期退職”や“希望退職”があります」

 損保ジャパン日本興亜のようなケースはどうなのか。

「一応、『あなたでも活躍できる場を用意しましたよ』ということなので、リストラではない。ただ、出向や配置転換は不当でない限り拒否できないので、早期退職との二択で悩ませる方向に追い込む形でしょうね」

 それでも本人が首を縦に振らなければ、会社にしがみつけるというが……。

「消費増税で内需型ビジネスが軒並み冷え込み、東京五輪後は大リストラ時代が再来する。今はまだその序章にすぎません。割増退職金も削られるので、今のうちに……というのもひとつの判断でしょうね」

 好況とされる現在でも、希望退職・早期退職を募る企業は多い。2019年1-6月、上場企業だけでも17社が募集し、8178人(判明分)が早期退職した(東京商工リサーチ調べ)。これは前年の2倍以上の人数で、大半は40歳以上の中高年が対象だ。

 2019年の早期希望退職者は、富士通で2850人、東芝で1060人など、業績不振の電機メーカーで大規模リストラが目立つ。一方で、アステラス製薬や中外製薬のように、業績好調なのに将来を見据えた早期退職募集を行った企業もある。

 好不況にかかわらず中高年の受難は続く。

タイトルとURLをコピーしました