老後のお金について関心が高まる昨今、老後の生活を具体的にイメージできている人はどれほどいらっしゃるのでしょうか。
オールアバウトでは2021年5月、30~59歳の方を対象に、何歳まで働く予定か、また、副業や独立開業の予定があるかについて、アンケートを実施しました。
調査結果とあわせて、All Aboutのマネーガイドでファイナンシャル・プランナーの坂口猛さんからコメントをいただきました。
実施したアンケートの回答者属性
今回、インターネット上での調査を実施し、525人の方に回答をいただきました。回答者の年代別人数については画像の通りです。
50代の半数以上が「定年後も働く」と回答
アンケートでは、老後の生活費に対して受け取る年金ではまかないきれないと考えている方が多くいることがわかりました。不足分をどのように補うかを聞いたところ、図のような結果となりました。
多くの人が定年後も「働いて生活費を稼ぐ予定」と回答していました。定年に近づきつつある50歳以上に注目してみると、半数以上が「働いて生活費を稼ぐ予定」と考えていることがわかります。
何歳まで働く予定? 回答の1位は…?
定年後も「働いて生活費を稼ぐ予定」と考えている人が多いことがわかったところで、何歳まで働くイメージを持っているのかを探ってみました。
「何歳まで働く予定か」という質問については、図のような結果になりました。
「働けるならいつまでも」と回答された方が各年代1位となり、集計すると全体で約46%を占めていました(図では割愛しています)。
その他の回答をみると、「65歳まで働く予定」という割合は55~59歳が最も多くなっています。
この結果に、坂口さんはこのように述べています。
「興味深かったのは、「働けるならいつまでも」と回答された方の年齢別の数値です。30代の方が約47%、40代が50%程度、50代の方が40%程度となっているのですが、50代以上の方の数値が一番少ないのには驚きました。比較的経済的に余裕があるのか、はたまた、もう働くのに疲れてしまっているのか……。逆に、40代の方々の働く意欲が高い点は、とても心強く感じました。
また、次に多いのが「65歳まで働く予定」と回答された方です。全体で約20%、55歳以上の方ですと約31%の方が65歳までと回答されています。60歳までと回答された方は、全体で約13%いらっしゃるのですが、興味深いのは、30歳から44歳までの方の数値が14~17%と、45歳以上よりも高い点には驚きました」(坂口さん)
副業・開業の意思がある人は70%以上
働き方は、会社員として企業に雇用されて給与をもらうことだけが選択肢にはなりません。副業をしたり、独立開業するという選択肢もあります。そこで、副業、もしくは独立開業する意思の有無についても調査しました。
結果をご覧いただくと分かる通り、副業や独立開業について、すでに実施しているという方が全年代で20%以上、現在検討中という方を含めると50代は70%以上という結果になりました。今働いている企業からもらう給与以外にも収入源の確保を検討している人が多いことが分かります。
こうした結果を踏まえて、坂口さんは副業・開業に関して注意点を教えてくださいました。
「昨今、副業を解禁される会社も多くなってきているようですが、あらかじめ、勤務先の就業規則等を確認するなど、のちのちのトラブルにならないように注意する必要があります。また、独立開業に関しましては、健康保険の関係や税務申告の関係など、いままでは、勤務先の会社が行ってくれていた事務作業等を、自らの責任と時間で行う必要がありますので、のちのち困ることのないように、じっくりと検討するようにしましょう。状況にもよりますが、いきなり独立開業するのではなく、まずは、副業として始めてから、独立開業できるかどうかの判断をされることをおすすめします」(坂口さん)
ここまで、定年後も働く意向や働き方についての回答を紹介してきました。実際に高年齢者雇用安定法が改正され、長く働ける環境が整いつつあります。そうした環境をうまく活用できるように、現役時代から計画を立てておくことが大事かもしれません。
コメントをくれたのは……坂口 猛さん
企業内外におけるお金に関する実務経験30年を活かしたアドバイスには、説得力があり、実務的であると定評があるFPの1人。税金や相続・事業承継、副業・開業者への支援やクラウドを活用した働き方改革のための効率的なスキームづくりなどの支援を得意としており、All Aboutのガイドやセミナー講師としても精力的に活動中。