6/27日再出発 いわきのロックバーQUEEN 有志の善意で再建

いわき市平字南町で四月に起きた火災で延焼したロックバーの名店「DINING&BAR QUEEN」が二十七日、同市平字白銀町に復活する。創業四十年の節目に常連客や音楽仲間が再建を後押しした。店主の加藤功さん(61)は「恩返しの気持ちで歩みたい」と新たな門出に決意をにじませる。

 加藤さんはフランス料理の修業を積み、地元での就職を経て「おいしいものを気軽に食べてもらいたい」と一九七九(昭和五十四年)に開業した。

 当時は英ロックバンド「クイーン」全盛期でおいしい料理としゃれたお酒を提供しようと店名を掲げた。老朽化に伴い二〇〇二(平成十四)年、ライブができる内装を加え世界館ビル内への移転などを経て二〇一五年に南町に店を構えた。開業以来、市内で珍しいロックバーとして多くのファンに愛されてきた。

 四月二十六日、店舗が入っていたビルで火災が発生し、店が全焼した。大型連休中をはじめ数カ月先まで予約があった。常連客の顔も浮かび「とにかく一日も早く店に立つ」との一心だった。

 そんな中、支援の手が差し伸べられた。五月十一日、クイーンの応援オープンライブが企画され、約三十組の出演者が十時間半に及ぶ演奏を繰り広げた。約百十人の観客を含む仲間から浄財が集まった。六月四日にはシンガー・ソングライター竹原ピストルさんが市内のライブで、クイーンの特製ステッカーを販売し、収益が全額寄付された。

 「音楽を通じて加藤さんに人生を変えてもらった」「大切な場所が早く戻って来るように」-。再建先が決まらないうちから善意が寄せられた。県外の店主から使っていない音楽機材が提供された。

 「ファンの気持ちに応えるためにも一生を懸けて、店を続けていく」。加藤さんはスタッフの藁谷浩美さん(54)と開店準備を進めながら、火災で残った店先の看板とポストを前に誓いを立てた。

■支援する会が浄財300万円寄付

 いわき街なかコンサート実行委員会の有志でつくる「QUEEN(クイーン)再建を支援する会(三浦光博代表)」は十七日、街なかクイーン再建支援基金に寄せられた浄財三百万円を、クイーンに贈った。

 三浦代表らが福島民報社いわき支社を訪れ、クイーンの加藤さんと藁谷さんに目録を手渡した。

 支援する会は実行委員会の有志のほか、「Smile AgainfromIWAKI実行委員会」「clubSONICいわき」「いわきPIT」で構成されている。応援オープンライブなどで来場者が善意を寄せた。

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