700万円かけて再生回数4900回止まり 福島市のふるさと納税紹介PR動画「バズり」待ち

動画コンテンツでふるさと納税の使い道を紹介する福島市の特設サイト「元気マシマシ福島市」の再生回数が伸び悩んでいる。心地よいビートに乗せて市民がラップで感謝を伝える動画を用意し昨年8月、満を持して公開した。出来栄えに対する手応えとは裏腹に、総再生回数は4900回程度と残念な状況。大きな反響を巻き起こす「バズり」を関係者は待ち続けている。

マチーデフ氏を起用

 特設サイトの動画は計5本。市民がアニメーションのラーメン丼に「具」を投げ入れながらラップを歌う、という不思議な内容だ。若手の市職員らがアイデアを練り上げ、市出身のイラストレーター佐藤昌栄さんが協力した。制作費用は約700万円。

 東京電力福島第1原発事故後の風評払拭や子育て支援事業など、ふるさと納税の使い道を音に乗せて紹介する。作詞作曲は2016年に津軽弁ラップで青森県を紹介するPR動画をプロデュースしたラッパーのマチーデフ氏(東京)を起用した。

木幡浩市長の指示

 制作のきっかけは木幡浩市長の指示だった。「ふるさと納税の使い道を伝わりやすくする工夫ができないか」。20年12月から担当の政策調整課で会議を重ね「ラップとラーメンの動画」の案が固まった。

 ラーメンの具をふんだんに盛る「マシマシ」は一部ラーメン系列店で使われるフレーズ。福島市との関連性は特にない。が、「何となく勢いを感じる言葉なので拝借した」(政策調整課)という。

 昨年4月に撮影を始め、移住世帯や福島商工会議所青年部メンバー、若手農家らが出演した。歌い手の一人として駆り出された市職員小峰風太郎さん(40)は「歌は苦手だが楽しめた。自主練に付き合ってくれた妻に感謝しかない」としみじみ語る。

「狙い過ぎても良くない」

 ただ、世間の反響はいまひとつだった。鋭く反応を示したのは県内の自治体関係者ばかりで、政策調整課の斎藤智博シティセールス推進室長は「市長も仕上がりに満足していたし、『これはバズる』と期待したんですが…」とこぼす。

 「MCターキン」を名乗るラッパーで動画に登場する市内の果樹農家安斎忠幸さん(45)は反響の薄さについて苦笑いし、「動画コンテンツはネット上で飽和状態。バズらせようと狙い過ぎても良くないし、今後も試行錯誤を続けるしかない」と話す。

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