8月の仙台は暑かった…真夏日は30日間、熱帯夜も24日間 観測史上最多を更新

8月の仙台は記録的な酷暑となった。31日の最高気温は34・4度、最低気温は26・4度。真夏日が30日間、熱帯夜が24日間となり、月間の観測史上最多を更新した。三陸沖での黒潮蛇行など気温上昇の原因が重なった。仙台管区気象台によると、残暑は少なくとも9月上旬まで続く見通し。生鮮品を扱う関係者は「経験のない暑さ。秋野菜にも影響する」と不安視する。(報道部・鶴巻幸宏)

経験のない暑さ 野菜や魚への影響不安視

 8月の仙台の最高気温は表の通り。30度を下回ったのは12日の1日だけで、猛暑日は3日間。これまでの月間最多は真夏日が2010年の26日間、熱帯夜は19年の8日間、猛暑日は1937年と15年の4日間だった。

 7月後半以降の顕著な高温について、気象庁は(1)太平洋高気圧の強い張り出し(2)ジェット気流の北偏(3)台風の北上に伴う暖気の流れ込み-などが背景と分析。仙台管区気象台天気相談所の永岡利彦さんは「仙台の夏は海風が入るため30度を超えない日が多いが、今年は三陸沖の水温が高い」と指摘する。

 気象庁によると、宮城県沿岸の海面水温は8月以降26度以上で推移し、平年より3~4度高かった。通常は房総半島沖を東に流れる黒潮続流が今年、三陸沖を蛇行していることが要因という。

 宮城県水産技術総合センターの伊藤博上席主任研究員は「県沖で暖水性のビンチョウマグロが北上し、漁獲量が増えた。今のような海水温が続けば秋以降、サンマやサケといった冷水性の魚類は三陸にますます寄らなくなる」と懸念する。

 「今は暑過ぎて野菜が売れず、騒ぎになっていないだけ」。仙台市中央卸売市場で卸売業を営む仙台あおば青果(若林区)の安藤秀広常務は、今後の動向を危惧する。

 東北農政局が31日発表した同市場での9月の野菜入荷量と卸売価格の見通しによると、入荷量は主要14品目のうち「平年を上回る」のがジャガイモの1品目だけ。「平年並み」が6品目、「平年を下回る」が7品目で、減少基調となっている。

 仙台の7月22日~8月30日の降水量は30ミリで平年の16%。東北の他の県庁所在地でも平年の14~71%にとどまる。安藤常務は、高温少雨で葉物類や実のなる果菜類で生育不良が目立つと説明し「9月の相場は学校給食の需要で高めで推移する」と予測した。

 猛暑の余波で、流通先への発送を待つ間に傷むケースも出ている。取材中にもキャベツなどを廃棄する仲卸業者の姿があった。

 「盆過ぎには秋風で涼しくなると思っていた。このままでは農家の生産計画も立たなくなる」。安藤常務は危機感をにじませた。

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