BBC記者が日本メディアに苦言「何十年も問題を無視」「関わる人は自問自答を」 ジャニーズ会見に海外は…

7日午後、ジャニーズ事務所が会見を開き、ジャニー喜多川元社長の性加害を初めて認めました。海外メディアや、「性加害」についての調査のきっかけとなった今年3月に放送されたドキュメンタリーを制作したイギリスBBCはの記者は、どのように受け止めたのでしょうか。

■ジャニーズ会見 海外の報道は

ジャニーズ事務所の会見を、海外のメディアも報じています。 台湾の大手メディア、三立ニュースは「ジャニーズ事務所が初会見」と、ネット上で会見の模様をライブ中継しました。 ロイター通信はジャニーズ事務所について「SMAPや嵐など、東アジア中に多くのファンを持つJ-POPのトップクラスの人気者を輩出し、日本のカルチャー界で巨大な存在感を持つ」と紹介し、ジャニー喜多川元社長の性加害報道が「日本を釘付けにしてきた」と報じました。 こうしたなか、ギネス世界記録を認定するギネスワールドレコーズは、「先日発表された故ジャニー喜多川氏の調査報告書を受け、本状況において記録掲載は適さないと判断し、氏の記録を公式サイトより削除いたしました」との声明を発表。喜多川元社長の「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」など、2つの記録を削除しました。

■「風通しが少しでも良くなれば」東山氏と井ノ原氏の思い

世界が注目するなか開かれたジャニーズ事務所の会見。 ジャニーズ事務所 藤島ジュリー景子前社長(57) 「ジャニー喜多川に性加害はあったと認識しております」 東山紀之新社長と井ノ原快彦さんの2人はジャニー喜多川元社長による性加害について語りました。 ジャニーズ事務所 東山紀之新社長(56) 「喜多川氏と藤島氏の絶対的な存在もありましたし、僕らはそれを正しいと信じておりました。エンターテインメントの世界で絶対的な存在をみますと、下の者たちはそれを信じ行動していかないといけない。それが被害の拡大を生んだのでは」 ジャニーズアイランド 井ノ原快彦社長(47) 「今の思いですか? 何てことしてくれたんだって。いいかげんにしてほしいです。被害にあわれた方が相談に乗ってくるとか、そういうことができない空気はあったと思います。何だかえたいのしれない、それには触れてはいけない空気というのはありました」 ジャニーズ事務所は生まれ変われるのか。2人が強調したのは“風通しの良さ”でした。 ジャニーズ事務所 東山紀之新社長(56) 「風通しが良かったかと言われたら、悪かったと思います。それを変えるべく僕らは今後やっていくわけです。僕らがやることで風通しが少しでも良くなれば幸いに思いますが。平等にフラットなものの考えでいけるように構築していきたい」 ジャニーズアイランド 井ノ原快彦社長(47) 「僕か僕の部下が権力を持たないような仕組みは、みんなで考えていかないといけないと常日頃話し合っております」 事務所の舵取りを任された東山紀之新社長は… ジャニーズ事務所 東山紀之新社長(56) 「まず、過去は変えられない。裏切られたと思っているファンの方もたくさんいると思う。まずは努力を続けること、信頼を取り戻すこと、それしかないのかなと」

■BBC記者「メディアは自由に発言できるべき。ニュースに関わる人たちが自問自答して」

ジャニー喜多川元社長が亡くなって4年。「性加害」の被害者が相次いで声をあげるきっかけとなったのは、日本国内ではなく世界からの目でした。 イギリスBBCが今年3月にドキュメンタリーを放送。元ジャニーズJr.の被害者の胸の内や、日本社会の実情などの取材は「日本ポップス界の『捕食者』」のタイトルで日本版サイトでも公開されました。 このドキュメンタリーを制作したBBCのモビーン・アザー記者は、7日の事務所の会見をどう受け止めたのでしょうか。 英BBC モビーン・アザー記者(英・ロンドン、日本時間7日午後5時半すぎ) 「今日は大きなステップでした。ジュリー前社長が辞任したことは喜ばしいことです。しかし、まだ大きな疑問が残ります。社会正義の実現にはまだ遠い」 新体制については… 英BBC モビーン・アザー記者 「(新社長は)元々アイドルで、ジャニーズ事務所のシステムの中で生きてきた。これは問題だと思います」 さらに、日本のメディアについて、次のように指摘しました。 英BBC モビーン・アザー記者 「日本のメディアが何十年もこの問題を無視し続けてきたことは、非常に問題です。事務所が何十年も力を持っていた、それは危険なことです。1つの組織や会社が何をニュースにすべきか、何に沈黙するかについて決める力を持つべきではない」 事務所が絶大な力を持っていたことを問題視し、今後のメディアについて、語りました。 英BBC モビーン・アザー記者 「メディアは自由に発言できるべき。今後、日本の報道機関の中でニュースに関わる人たちが自問自答し、文化が変わることを心から願っています」

■「後手後手の対応」事務所もメディアも… 元ジャニーズJr.橋田さん

13歳のときにジャニー喜多川元社長から性被害を受けたと告白した元ジャニーズJr.の橋田康さんからも、メディアに対し言葉は優しくも厳しい意見がありました。 ――相談できない雰囲気はあったのか? 元ジャニーズJr. 橋田康さん(37) 「仲間内、ジャニーズJr.の中では、当然のように日常会話の中でそういう話はありました。しかし、大人、大きな先輩であったり、僕で言えば東山新社長などに相談できる機会はなかったですね。そういう選択肢も生まれなかったです」 ――東山氏、井ノ原氏がジャニーズ事務所の幹部の中にいて、相談できない時代があったことを払拭できるのか? 元ジャニーズJr. 橋田康さん(37) 「本当に難しいと思います。BBCの記者も言っていましたが、ジャニーズ事務所の中で育った人が新社長になっていくということは、外から見たら、そもそも『こうあるべき』という概念がないわけですから、すごい葛藤があると思います。ただ、僕はジャニーズ事務所で育ってきたということも踏まえて、葛藤を乗り越えていくと信じたいです」 ――メディアに求めることは? 元ジャニーズJr. 橋田康さん(37) 「会見で東山新社長も言っていましたが、事務所が『後手後手』になっていたことは本当にそうだと思います。もっと急いで対応していれば、こうなっていただろう、ということはいっぱいあったと思います。メディアについても同じことが言えると思います。早く真実を報道してもらえればと思うことはいっぱいあります。同じことを繰り返さないように、今後、報道のプロとしてあるべき姿で、ジャニーズ事務所と一緒に前に進んでほしいと思います」

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