FNS春の祭典にドン引き!! 視聴者が求めているのは「誰かを蔑む笑い」ではない

今月1日、坂上忍司会の特別番組『FNS番組対抗オールスター春の祭典目利き王決定戦』(フジテレビ系)が放送されたが、そのなかの企画「整形美女とナチュラル美女の境界線を目利きしろ」に批判が殺到している。

 番組では春から放送される新ドラマやバラエティの出演者が集合し、「紙製の椅子か本物の椅子か」「甘いケーキか激辛ケーキか」などを目利きするクイズに挑戦。正解数を競い合った。しかし「整形美女とナチュラル美女の境界線」を目利きする段になると、出演俳優たちにの表情に俄かに困惑の色が浮かぶ。坂上忍は整形した女性を馬鹿にして笑いをとる

 「整形美女とナチュラル美女の境界線を目利きしろ」では、スタジオにAからDまでの5人の女性が登場。女性は一列に並び、どこまでが整形美女でどこまでが天然美女なのかを当てる。

 坂上は「遠めから見てもAの方は(整形と)わかる」と発言。共に司会をしていた山﨑夕貴アナウンサーに「わかりませんよ」と否定されるも「どうみてもわかるでしょう」と強く反論した。

 確かにAの女性は数週間前の『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)に出演し、美容整形をカミングアウトしていたモデルで、それを知っていた出演者もいたかもしれない。だが番組でそのことには最後まで触れられなかった。

 その後も事あるごとに坂上はAの女性を小馬鹿にしたような発言を繰り返し、彼女が整形美人だと発表されると「えー! 見えない!」とわざとらしいリアクションで、笑いをとろうとしていた。また、Aの女性が「耳以外すべて整形した」と告白すると、坂上は失笑したのだった。

 この坂上の態度に視聴者からは、「坂上忍が整形した人を見下していて不愉快」「坂上忍のボケの何が面白いのかわからない」と、非難が殺到している。



 だが、坂上は司会を務める『バイキング』(フジテレビ系)で、女優・有村架純の姉でタレントの有村藍里が大規模な整形をしたことを取り上げた際は以下のように語っていた。

<リスクを分かった上でやっていると思うんです。僕は全然、(美容整形手術))否定派だったんですよ。時代も変わり、話を聞いていくと、それをすることによって自分が心に自信が持てるんだったら1つのやり方なのかなっていう気がするようになってきた>

 今回の整形をした人を馬鹿にする態度を見る限り、坂上の本音がどこにあるのかさっぱりわからなくなる。人の“容姿”をネタにするテレビ番組の問題

 人の容姿を笑いのネタにする番組自体にも、そもそもの問題がある。かねてからテレビ番組では、「美人でない女性は馬鹿にしてもよい」という風潮がまかり通ってきた。

 たとえば、女性芸人の「ブスいじり」は当たり前で、日々「笑いのネタ」として消費されている。芸人の場合は自ら容姿をネタにする人も多いが、素人の場合でもお構いなしに容姿をいじることもある。

 昨年9月に放送された『マツコ&有吉のかりそめ天国』(テレビ朝日系)では、「美人な女性にはどのような彼氏がいるのか」を調べるため、お笑い芸人の三四郎・小宮浩信が道行く女性に声をかける企画を実施。小宮は複数の女性に声をかけたのだが、後ろから声をかけ顔をみた途端に「あっ、大丈夫です」と断り、ぼそっと「あんまり可愛くなかった」と容姿を批判する場面もあった。道を歩いている人にいきなり声をかけ、容姿を批判する行為は失礼でしかない。

 ネット動画でも素人女性のブスいじりは定番コンテンツ化しれており、人気ユーチューバー「へきトラハウス」は昨年10月、『第2回 振り返りブスババ抜きゲーム!!!』という動画を投稿。街を歩く女性の後姿だけで美人かどうかを判断し、振り返らせて正解かを判定するという内容であった。

 こういった容姿に関する企画は女性が対象であることが多く、対男性では成立しない。「女性の価値は容姿で決まる」という感覚が根底にあるからだろう。

 テレビ局やユーチューバーは「面白い」「笑いになる」と思い、こういった企画を作っているのだろうが、本当にそれは“笑えるもの”なのだろうか。



 最近では、女性芸人のブスいじりにも批判的な声が増えてきた。『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)でイモトアヤコが「ブス」と連呼される演出が放送された際には、嫌悪感を覚える視聴者が続出した。前出した『マツコ&有吉のかりそめ天国』の「美人の彼氏企画」にも「失礼」という意見が噴出し、「ブスババ抜きゲーム」は女性蔑視だと大炎上。“笑えるもの”なら、こうはならない。

 今回の「整形美女とナチュラル美女の境界線を目利きしろ」に対しても坂上忍の失礼な態度への批判と共に、「容姿いじりはイジメ」「整形かどうかを見極める企画なんて不愉快でしかない」「あんないじり方されたら病んでしまいそう」など、ネット上では批判が殺到している。

 視聴者がテレビに求めている笑いは、「誰かを蔑む笑い」ではない。

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