iPadが2010年に誕生してから約12年。当時は「iPhoneの拡大版では?」 などと物議を醸したが、今では「タブレット端末」として、VOD視聴やネットショッピング、電子書籍閲覧などのツールとして人々のライフスタイルに定着している。全国の主要家電量販店やネットショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、タブレット端末市場でiPadの一強状況が続いている。22年1月のタブレット市場全体のうち、iPadシリーズは販売台数で62%のシェアを占める。一方のAndroidや他のOSタブレットは38%しかない。実は、この「iPad以外の市場」に40社以上がひしめき合っていることをご存じだろうか。 ●「iPad以外の市場」で上位はレノボ・ジャパンとNEC 「タブレット端末と言えばiPad」ーー。そう想起する消費者は多いだろう。「BCNランキング」によるタブレット端末市場の販売台数シェア推移(2021年1月~22年1月)をみても、iPadは最低が3月の54.6%、最高が10月の75.1%となっており、常に市場の半数以上を制圧しているのだから無理もない。 今回注目したいのは、「iPad以外のタブレット市場」だ。実はこの市場に、Apple以外の延べ40社を超える企業が参入している。わずかな市場で死闘が繰り広げられているのだ。 その中でも二強を形成しているのがレノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータ。BCNランキングで「Android・その他OS」に絞ったタブレット端末市場をみてみると、22年1月の販売台数シェアはレノボ・ジャパンの約40.7%、NECの約29.0%となり、2社で約7割を占めていることがわかる。 NECはAndroid OS搭載モデルがメインとなるが、レノボはAndroidを中心にChrome OS、Windows 10搭載モデルと、OSの選択肢も豊富だ。 かつてSIMフリースマホの販売台数でNo.1を獲得していたASUSやHuaweiもタブレット端末の販売に力を入れていたが、22年1月時点では上位争いから外れている。 ●アイリスオーヤマとXiaomiが急浮上 さらに「iPad以外の市場」における3位以下のメーカーシェアに着目してみよう。21年10月以降、わずかではあるが急速にシェアを伸ばしているメーカーが、アイリスオーヤマとXiaomi(シャオミ)の2社である。 Xiaomiは21年10月に「Xiaomi Pad 5」を発売。アイリスオーヤマも21年8、9月に「LUCA Tablet」シリーズを発売しており、22年1月は2社合わせて約11%のシェアを獲得している。厳しい市場の中にあえて新規参入するチャレンジ精神を持った2社と言えるだろう。 Appleは確かに強い。タブレット市場という新たな製品カテゴリを創造したメーカーだけに高いシェアを獲得し、支持を得ている。そんな中でも、AndroidやChrome OS、Windowsタブレットに市場性を見出し、製品を投じているメーカーがいることを心に留め、シェアが激しく入れ替わる各社の攻防を見届けていきたい。(BCN・栃木 亮範) *「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などのPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。