IT恐竜の上陸、中国ドラマの韓流化……韓国で“嫌中”が広がるワケ

 3日、中国の習近平国家主席が訪韓したが、これにより中国と韓国の関係は、ますます蜜月となったように映る。“反日国家”と呼ばれて久しい両国がさらに連携を深めたことで、うんざりした気持ちになっている人も多いのではないだろうか。
 だが、中韓の良好関係は、どうやらパク・クネ大統領をはじめとする政治家だけに限った話のようだ。というのも、ごく普通の韓国人は年々、中国人嫌いになっているとのデータがあるからだ。韓国のテレビ局SBSによると、ここ10年で「韓国人が嫌いな国」に変化が見られるという。嫌いな国1位は相変わらず日本(44.1%)なのだが、ここ10年で2位はアメリカから中国に変わった。しかも、韓国人の中国嫌いは加速度的で、10年前と比較すると4.6%から19.1%に跳ね上がっている。嫌いな国3位の北朝鮮(11.7%)、4位のアメリカ(4.8%)を大きく突き放しているのだ。それほど韓国国内で“嫌中”が広がっているのである。
 韓国人が中国人を嫌うワケは、さまざまに考えられる。例えば、経済的な面だ。韓国メディアが「中国IT恐竜たちが韓国に上陸」と危機感を訴えたように、韓国のIT業界やゲーム業界に次々と中国企業が参入している。世界のスマホ市場においても中国企業がシェアを伸ばしており、サムスンやLGを追撃。成長が止まった韓国のメーカーは、中国企業に追い詰められている状況だ。今回の中韓首脳会談では経済協力の合意がなされたが、各企業レベルで見ると予断を許さない状況に変わりはない。
 また、エンタメ面からも「中国ドラマが“韓国ドラマ化”してきている」との声が。韓国ドラマといえば、財閥2世、出生の秘密、三角関係、記憶喪失など、どの作品にもほぼ必ず登場するキーワードがあるのだが、その十八番が最近の中国ドラマにも多く取り入れられているという。さらに、「韓国人のように化粧法・スタイルまで変えている」といった指摘も。いわゆる韓流が中国人に“パクられてる”と感じているのかもしれない。ほかにも、ベトナムの反中デモで韓国企業約50社が中国企業に間違えられて攻撃を受けたことなど、中国を嫌いになるきっかけは一つや二つではないのだろう。
 それでも一番の原因は、やはり中国人観光客の増加にあると考えられる。韓国を訪れる中国人は、いまや年間400万人以上。ここ数年で、爆発的に増えているのだ。ソウル在住のある韓国人は、「少し前までは街中を歩いていると日本語が聞こえてきたが、今は中国語ばかりがやかましく聞こえてくる。彼らはどこに行ってもいる」とこぼしていた。当然、多くの中国人が入国しているため、彼らが起こす事件や問題も増えている。
 要するに、すっかり中国との距離が縮まったことで、相手の本当の姿が見えてきたということだろう。その結果、中国を嫌う韓国人が増えていき、現在の嫌中ムードにつながっているというわけだ。それにしても、この“距離が近づいたことで相手国を嫌いになる”という流れ、どこかで見たような気がするが……。

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