日本広告審査機構(JARO)は6月19日、2018年度の広告審査に関する統計をまとめた。総受付件数は1万1051件(前年度1万300件)で、前年度比107.3%となった。内訳は「苦情」8386件(同 7547件)、「照会」1669件(同1712件)、「称賛」36件(同 4件)、「JARO関係」83件(同 50件)、「広告以外」877件(同987件)であった。
総受付件数は、特にオンライン経由の「苦情」が大幅な伸びを見せ、初めて1万件を突破した前回をさらに上回る結果となった。また前回から新設した「称賛」「JARO関連」も引き続き実施。良かった広告についても、苦情と同様、広告主に情報提供している。
消費者から寄せられた「苦情」の年代・性別での内訳をみていくと、「10代全体」(前年比 142.1%)、「10代男性」(同
124.2%)、「10代女性」(同 164.4%)、「40代女性」(同 122.9%)、「70代以上男性」(同
130.8%)での増加が目立った。
オンライン経由の「苦情」は引き続き増加
寄せられた「苦情」を業種別にみてみると、最も多かったのは「デジタルコンテンツ等」で668件。次に「健康食品」520件、「携帯電話サービス」428件、「通信販売業」343件、「自動車」282件と続いた。
トップの「デジタルコンテンツ等」はスマートフォンアプリのテレビCMなどへの苦情が集中した前回に比べ、総数は減少となったが、引き続きオンラインゲーム、電子コミックや映像の配信サービスなどに一定数の意見が寄せられた。
2位の「健康食品」と4位の「通信販売業」では近年問題視されている定期購入契約について、2017年度に特定商取引法施行規則が改正されたことによる減少が期待されたが、3件増加する結果となった。
「苦情」が寄せられた媒体別では、「テレビ」4396件(前年度 3886件)、「インターネット」2847件(同 2451件)、「ラジオ」308件(同 404件)が、2013年の調査から変わらず上位を占めた。
閲覧を阻害するインターネット上の広告への不満増加
「苦情」の種類に関しては①広告・表示規制上の問題、②広告表現、③広告の手法の大きく3つがあるが、その中でも、近年多く寄せられるのが③の広告の手法である。対象媒体は「テレビ」300件、「インターネット」201件が9割近くを占めており、特に「インターネット」の「迷惑な広告掲載」の増加が顕著にみられる。
「画面いっぱいに広告が広がって記事が読めない」「広告が動き回るので誤タップする」「閉じるボタンを押すと販売サイトに飛ばされる」「突然動画広告が再生される」など、強い不快感を訴える苦情が目立った。
JAROでは、広告の適正化に向けて、苦情対象となった広告主にその見解を発信している。見解の発信は重要度が高い順に「警告」「要望」「提言」の3段階に分かれており、2018年度は警告21件、要望3件、提言2件の計26件であった。