JR仙台駅周辺でホテル計画加速 インバウンド増などへ受け皿拡大期待

JR仙台駅周辺でホテルの新設計画が相次いでいる。東北初進出のブランドや新業態のホテルもある。仙台市中心部は東日本大震災の復興需要が落ち着いた後、訪日外国人旅行者(インバウンド)やビジネス需要が増加。ホテル客室数が不足しており、受け皿の拡大が期待される。

【仙台駅東口に複合ビル】20年夏完成、オフィスとホテル入居

 「ドーミーイン」を全国で運営する共立メンテナンス(東京)は、東北では初展開となる和風ビジネスホテル「御宿野乃」を広瀬通沿いに建設する。開業は2021年春を見込む。

 御宿野乃は旅館のような畳敷きの館内が特徴。市中心部では既にドーミーインを3棟運営しているが、同社は「インバウンドが地方に拡散している。ワンランク上の和風ホテルでニーズを取り込みたい」と説明する。

 東北に初進出するのは仙台駅東口に20年夏に開業する「ホテルグランバッハセレクト」。新設される複合ビルに入居し、全150室ほどになる予定。

 運営は「とんかつ新宿さぼてん」を展開するグリーンハウスフーズ(同)などのグループ会社。宿泊需要の拡大を背景に相次ぐ異業種からの参入組で、14年から自社ブランドのホテルを展開する。仙台が全国4カ所目となる。

 京阪ホールディングス(大阪市)傘下のホテル京阪(同)も東北初進出し、青葉通沿いに20年夏、約200室のホテルを開業する。「ダイワロイネットホテル」と「R&Bホテル」はそれぞれ市中心部に2棟目の建設を計画し、工事を始めた。

 仙台駅周辺では、平均稼働率が90%を超えるホテルも多い。仙台市誘客戦略推進課は「大規模な学会開催時などは客室が不足し、盛岡や福島のホテルを利用するケースも多い」と受け皿拡大を歓迎する。

 一方、計画中のホテルはいずれも宿泊特化型のビジネスホテルだ。大規模な国際会議やインバウンドの富裕層を呼び込むため、観光業界には会議や宴会機能を持つシティーホテルの進出を望む声が根強い。

 15年に仙台市で開かれた国連防災世界会議では各国の閣僚らが泊まるスイートルームが足りず、客室のランクを落としたり市中心部から離れた温泉旅館を使ったりしたという。

 東北観光推進機構の紺野純一専務理事推進本部長は「シティーホテルが増えれば街の魅力や機能は高まるが、事業者目線で考えれば進出は簡単ではない。インバウンドを増やし、進出しやすい状況をつくっていくことが重要だ」と語る。

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