JR福島駅東口再開発 計画の規模縮小 テナント誘致難航 データが裏付ける厳しさ

テナント誘致の難航、当初計画していたホテル誘致の断念など規模縮小を迫られている福島県福島市のJR福島駅東口地区の再開発。
民間企業からは「福島駅前では事業が成立しない」という声が上がっているとのことだが、それほど厳しいのか。

まず「再開発ビルでのホテル誘致断念」にもつながった客室の稼働率。
観光庁の統計によると、2023年9月の福島県内の宿泊施設の稼働率は約45%と全国でワースト4位。
福島市だけに絞ると7割あまりなのだが、土地の価格も高い駅前だから、ホテルにとっては「採算が取れないのでは」と懸念されている。

また、ここ30年での福島市の街なかの変化もテナント側の不安材料となっている。

街なかの人口は6千人減少、駅前の休日の歩行者は2万6千人減少と企業が投資を判断するための「人の流れ」が弱くなっている。
市は「事業が遅延すれば街なかの再生がますます困難になる」として縮小に踏み切った上で、「公共エリア」を整備し駅周辺の集客力強化につなげたいとしている。

福島駅西口では、イトーヨーカドー福島店の閉店まであと5日に迫ってきた。
4月25日、木幡市長は、民間のテナント誘致について「非常に厳しい状況」と話し、5月1日も、魅力が乏しいとした駅前…その魅力は、いま工事が進むエリアだけで高められるのか?それとも、ほかの部分も一体的に変えた方が良いのか?喫緊の課題は、より議論を尽くす必要があるのかもしれない。

JR福島駅東口の再開発事業を巡り、福島市と福島駅東口地区市街地再開発組合は、当初計画で民間エリアに入る予定だったホテルの誘致を断念した。資材高騰や新型コロナウイルス禍に伴う経済状況の悪化により、事業者との交渉で条件面の折り合いがつかなかったことが要因。民間エリアではアパレルなどほかのテナント誘致も難航しており、事業規模の縮小が懸念される。

 木幡浩市長が1日の市議会全員協議会で明らかにした。市と組合によると、ホテル誘致を巡っては2021年に事業者と条件面でおおむね合意し、事業成立のめどが立っていたが、物価高騰などその後の情勢変化を受けて交渉が難航。事業者側から「価格転嫁が難しい」と最終回答があり、ホテル誘致を断念した。交渉に当たった組合の加藤真司理事長は全員協議会で「1年以上にわたり交渉を重ねてきたが、賃料などの面で折り合わず、ホテル誘致が困難と判断した」と説明した。交渉過程で賃料の高い複合ビルに設置するよりも「ホテル単体での誘致なら」という意見もあったことから、木幡市長は街なかの集客力強化を図った上で、単体でのホテル誘致を目指す方針を示した。

 木幡市長は「大規模な民間投資を呼び込む力が福島駅前には乏しくなっていると痛感している」とした上で「危機的な状況だからこそ、再開発の早期実現によって人流回復を図っていきたい」と述べた。

 民間エリア「10階程度」に

 民間エリアに建設するビルは当初計画の地上12階建てから「10階程度」に変更する見通し。ホテルが入る予定だった上層階には、シェアオフィスやインキュベーション施設などのオフィス機能を充実させる。低層階には「横丁型」のフードホールやカフェ、物産展などを設ける方針で、木幡市長は飲食店が中心となる見通しを示している。

 再開発事業では公共エリアと民間エリアの2棟を建設する計画で、公共エリアはコンベンションホールを新設する案を軸に協議が進んでいる。市は公共エリアと民間エリアに関する市の方針を今月中に取りまとめる。

タイトルとURLをコピーしました