以前からテレビ局にはクレームが多数舞い込んでいるものの、現在のテレビ局には難癖とも言えるクレームが舞い込んでくるようになったという。
無論、この状況は今に始まったことではないが、ここ最近は日増しに内容が酷くなっているそうだ。今回はその一例を聞くことができた。
「昭和の時代から存在する番組のひとつにドラマのNG集を紹介する番組がありますが、最近は放送を控える傾向にあります。その理由が苦情なんです」(テレビ番組制作スタッフ)
NG番組はたしかに以前は期末・期首の風物詩でもあったが最近は放送が少ない。だが、苦情が原因とはどういうことか。
「簡単に言えば『人のミスを笑いものにするのは最低だ』ということです」(同)
たしかに世間一般でミスした人を笑いあうのは道徳的に正しくない行為だ。しかし、これはテレビの世界の話である。
「出演者や事務所には許可を頂いた上で放送しています。また、ドラマの中ではシリアスな演技をする俳優が笑顔を見せるため、ファンの方々からも喜ばれることが多いんです。だから今後も以前のようにどんどん放送したいんですが、今は苦情を入れる方のほうが立場が強く、テレビ局もことなかれ主義に走っているので、どうしょうもないですね。大きな声を出した人が勝つ時代ということです」(同)
なんとも世知辛いが、スポンサーも揉め事を嫌うようで、激しい苦情があればそれを受け入れるしかないのが現実のようだ。
さらに低予算の時代だからこそ、本当は放送したいという事情もあるらしい。
「NG番組は未使用シーンを繋ぐだけで成立するので低予算で制作でき、今の時代にはピッタリです。それが放送NGとなると厳しいですよね」(同)
間もなく平成が終わりを迎える中、平成を振り返る動きが各所である。テレビの世界において平成という時代を象徴するもののひとつが、こうした苦情による自主規制かもしれない。
人を傷つける番組を作ってほしいとは思わないが、必要以上の配慮はテレビ放送を本当につまらないものにしていくだけのような気がする。