NGT48をめぐる問題が、山口真帆らの卒業で再びヒートアップしている。昨年12月に自宅マンションで暴行事件の被害に遭った山口真帆は、4月21日のチームG劇場公演で卒業を発表。同時に菅原りこ・長谷川玲奈も卒業発表したが、山口は読み上げた手紙で<私がこうして世間に発信してからも、寄り添ってくれたのは、(長谷川)玲奈と、(菅原)りこと、もふ(村雲颯香)でした>と3名の名前を上げた。
公演後、山口に“寄り添わなかった”とされる一部のNGTメンバーには、あらためてバッシングが向けられている。特にチームNⅢのメンバーたちを“事件の黒幕”とみなし、SNSで誹謗中傷をぶつけるネットユーザーは多い。彼女たちが卒業する山口真帆らに労いのメッセージなどを寄せていないことも、世間の不信感を煽っている。
一体なぜ、彼女たちはこの事件に一切触れないのか。「くだらないこと」という認識でいるのか、それともかん口令が敷かれているのか。
一言もこの事件や山口真帆に触れないことで、結果的に残りのメンバーが「山口をいじめていたのではないか」「犯行を教唆したのではないか」と疑われる展開になっている。事件発覚の段階でメンバー全員が心配やいたわりのメッセージを公表すれば、ここまで不可解な流れにはならなかっただろう。
なかでももっとも「疑惑」の被害をこうむっているのは、荻野由佳だ。彼女を黒幕と断罪する声は大きく、彼女が単独でテレビ出演や広告起用されるとクレーム沙汰になっている。しかしAKS関係者は「荻野は本当に関係ない」と弁解する。
「荻野由佳と犯行グループとのつながりは完全に誤解です。中井りかもそうです。そもそも男たちが山口の自宅に押し入ろうとしたのは、メンバーの教唆によるものではないというのがAKS内部の共通見解なので、その点で山口側の主張とは相容れないのです」(AKS関係者)
ないなら「ない」とあらためて公言すればよいと思うのだが、なぜこれほど誤解が蔓延っているとわかっていながら、AKSは各メンバーの無関係を強調しないのか。そこが不思議でならない。そのうえ、「週刊文春」2019年4月18日号(文藝春秋)によれば、AKS社長・吉成夏子氏はNGTメンバーとの個別面談で<今も事件のことをグチグチ気にするなら辞めてもらって構わない>と発言したという。これほど誹謗中傷を受けながら、メンバー個々が事件を一切気にせずにアイドル活動を続けていけると思うのだろうか。
また、実際に犯行を唆したかどうかという以前の問題もある。山口真帆はNGT48内の“風紀の乱れ”と、それに伴い自分のように「つながりを強要される」という被害がまた生じかねないことを危惧していると明言していた。その山口が夢を断ってNGTを去り、風紀を乱した側が残るという状況自体に、ブーイングが起こっていることも事実だからだ。
山口を襲ったNGT48ファンの男性らが、一部のメンバーと私的な領域でのつながりがあったことは、第三者委員会の調査でも報告されている。第三者委員会の調査報告書には、犯人グループと思われる男性から話しかけられて何の抵抗もなく会話をしているNGTメンバーがいること、その男性と複数回個別に会っていたメンバーがいること、また山口を襲って逮捕された男性のうち一人は以前より当該マンション内でNGTメンバーと会うなどしていたことが記されていた。しかしNGTは「ファンとのつながりを認めたメンバー」を不問とし、チームを統合して再生していく予定だ。
この図式が、まるで「正義が去り、悪が勝つ」かのように見えてしまう。AKS側での認識がどうであれ、現状では確かにそう見えているのだ。もはや犯行への関与云々だけの問題ではないわけだが、NGTはこのまま事件が風化するのを待つだけなのだろうか。