NTTが子会社のNTTドコモ社員に対し、大幅な“賃下げ”を提案していることが「週刊文春」の取材でわかった。昨年12月にNTTからNTT労働組合に説明があり、40代のドコモ社員で月収が約10万円減るケースも出てくるという。 【画像】NTT労組からドコモ組合員に配布された“賃下げ”に関する資料 小誌は今年1月にNTT労組からドコモ労組の組合員に配られた、会社側の提案の詳細が記された内部資料を入手。「人事・人材育成・処遇等の見直し(三次提案)」と題された同文書の内容について、40代後半の営業職であるA氏が解説する。 「私は主査ですが、現行の給与体系では、まずベースとなる『資格賃金』が月21万7千円。これまでの在職期間の評価に基づいた『加給』が約9万円。さらに各種手当が1万7千円ほどつきます」 ここまでの合算が約32万円。 「これに勤務エリアに応じた『コース加算』がつき、私は全国転勤ありなので6万2千円。加えて、主査クラスの『エキスパート加算』が1万1千円つきます。合計の月収額は40万円弱でした」(同前) しかし、今回の会社からの提案では、月収が大きく目減りするという。 「これらの諸手当を含んだ給与が、『グレード賃金』という新たな処遇体系に圧縮されます。私の場合、新体系では上限でも30万円弱しかもらえず、約10万円もダウンする。年収では1~2割減る計算で、これでは生活やローンの返済計画も狂ってしまいます。特に職歴が長い人ほど手厚かった『加給』の概念がなくなる影響が大きい。40代以上の社員には『長年働いたのに報われない』と転職を口にする者も出てきています」(同前)
「水準は主要7社で統一」に対するドコモ社員の不満
さらにドコモ社員の不満を呼んでいるのが、賃金について「水準は主要7社で統一」するとの記載だ。グループ約32万人のNTTの今3月期営業利益予想は1兆7450億円。このうち、グループ従業員約3万人のドコモが5割以上となる9200億円を稼ぎ出す見通しとなっている。 「統一ということは、NTT東日本、西日本とも給与が同水準になるということです。NTT東西は固定回線やフレッツ光の顧客対応で、基本的に平日昼間の勤務が多く、収益も低い。これに対し、我々ドコモは休日出勤、残業が当たり前の上、収益が落ちたとはいえグループの稼ぎ頭。明らかに不平等だと思います」(同前) NTT広報室に問うと、こう回答した。 「新たな人事給与制度については、労使で真摯に議論しているところです」 2月9日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および2月10日(木)発売の「週刊文春」では、NTTがドコモ社員の賃下げを目指す理由や、NTTの澤田純社長の経営方針などについて報じる。