「『チラチラリズム』欲しすぎる。お願いだから全国販売してください」
ファンからこんな嘆きの声が寄せられているのは、沖縄県出身の人気ロックバンドORANGE RANGE。いったいどういうことなのかというと、
「彼らの新曲『チラチラリズム』は沖縄ファミリーマート創立30周年記念のCMソングとして6月13日から発売されています。しかし数量限定かつ、県内のファミリーマートでのみの販売なんです。なので、県外に住むファンにとってはCDの入手が困難なのだとか」(レコード会社関係者)
ファンたちの“試聴熱”も高まっているようで、売買サイトなどネットで手に入れる人も多い。同曲について沖縄ファミリーマートの広報担当者に問い合わせてみると、
「弊社のホームページで取材させていただいたことがきっかけで、楽曲を作っていただくことになりました。県内のファミリーマート319店舗で4000枚限定で発売しています。おかげさまでかなり好調に推移しているようで、品切れになった店舗もあります」
沖縄ファミリーマートとコラボしたアーティストは彼らで3組目となる。
「これまでもBEGINさん、MONGOL800さんにもCMソングを提供していただきました」(前出・広報担当者)
3組とも沖縄出身の大物バンドだが現在はみな、地元での活動が目立つ。ORANGE RANGEに関しては、東京にあまりなじめなかったらしく、
「東京で『上海ハニー』や『ロコローション』『花』などのヒット曲をバンバン出していたころに、“売れる曲を作れ”とレコード会社に言われ続けたことを嫌がっていましたね。
数年前に学園祭に出演したときも“僕たちライブは好きなんで、ぜひ足を運んでください。テレビにはあまり出ないかもしれませんが”と話していたりと、あまり派手なプロモーションに興味がないようです」(前出・レコード会社関係者)
現に彼らは、メンバーの全員が沖縄で暮らしており、ほかにもkiroroやHYなども沖縄に住みながら活動をしている。なぜ沖縄出身のアーティストは最終的に地元に戻ってしまうのだろうか。音楽評論家の冨澤一誠氏に聞いてみると、
「東京ほど大きな活動はできないかもしれませんが、沖縄は文化圏が独立しているんです。CDを売ったりコンサートをしたりと、県内だけで十分に音楽活動が維持でき、生活していけるという背景があるからだと思います」
また、地元に戻ることで成功する例もある。
「BEGINの『涙そうそう』は東京から沖縄に戻り生活環境を整え、精神衛生的にもプレッシャーがない状態で生まれた名曲です。夏川りみさんも仕事があるときだけ上京するというスタイルですよね」(冨澤氏)
確かに“沖縄タイム”なんて言葉があるほど、のんびりとした人が多いとされる沖縄県民。生まれ育った環境がいちばんということなのかも。
「沖縄の人は本土に就職しても地元が恋しくて戻ってくる人が多いですね。また、家に位牌が置いてあるのが普通だったりと、先祖を敬う気持ちが強いのも地元に戻る理由のひとつかもしれません」(沖縄在住のライター)
“なんくるない”の精神から生まれる名曲たちにこれからも目が離せない!