米ベインキャピタルが、全国で約40の旅館や日帰り温泉施設を運営する大江戸温泉物語グループの売却手続きに着手したことが分かった。複数の関係者によると、ソフトバンクグループや複数の投資ファンドが1次入札に参加したという。
ベインは1000億円超での売却を目指しているほか、新規株式公開(IPO)の選択肢も検討しているという。事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。ベインは2015年に同グループを買収しており、当時の日本経済新聞の報道によると、買収総額は約500億円だった。
関係者によると、ベインは野村証券をファイナンシャル・アドバイザーに起用した。ベインの広報担当にコメントを求めたものの直ちに回答を得られなかった。ソフトバンクGと野村証券の広報担当者はコメントを控えた。
インバウンド需要の強さを背景に、国内外の投資ファンドによる温泉施設の買収が熱を帯び、関連する不動産投資信託(J-REIT)の資産も増勢だ。ソフトバンクG傘下の米フォートレス・インベストメント・グループは約100の温泉施設やホテルを展開しており、ホテルなどを含む日本国内の不動産に4年程度で最大4000億円を投資する考えだ。
大江戸温泉物語は江戸の下町のにぎわいをモチーフにした大規模日帰り温泉施設をはじめ、全国で38施設を運営している。ソフトバンクGのフォートレスは2月に大阪市湾岸部の高層ビルに巨大な温泉型テーマパーク「空庭温泉」を開業した。
温泉・温浴施設に特化して設立したREITの大江戸温泉リート投資法人の株価は年初来14%上昇、フォートレス系列REITのインヴィンシブル投資法人の株価は同44%上昇している。