不登校と暴力行為、日常が戻って増える 文科省調査データが示す宮城の学校生活

文部科学省が4日公表した2022度の児童生徒問題行動・不登校調査で、県内ではいじめの件数は減ったが、小中学校の不登校児童生徒数と小学校の暴力行為が増えた。県教委は新型コロナウイルスの影響で縮小した部活動や行事が再開され、子どもたちが触れ合う機会が復活。暴力やいじめにつながったと分析する。支援員の配置や教室外での学習の場を確保するなどの対策を進める。

小中の不登校人数は全国6番目

 小中学校の1000人当たりの不登校児童生徒数は全国で6番目に多い36・3人。全国平均は31・7人。

 実人数では小学校が25・3%増の2066人、中学校が15・5%増の4122人。在籍児童生徒数で割った「不登校出現率」は中学校が7・0%(全国平均6・0%)と過去最多。小学校は1・9%(同1・7%)だった。

 県教委は「不登校への保護者の理解が深まった」と分析。「行きたくなる学校づくりとともに、フリースクールなど民間とも連携して教育機会を確保する必要がある」と説明する。

 県教委は本年度、所属学級とは別の教室での学びを手伝う「別室支援員」を28人配置した。教室で過ごすことに不安のある児童生徒の面倒を見ている。

 一人1台配布されたタブレット端末を活用。教室外でもオンラインで学習できる機会を確保する。

 仙台市の小中学校の不登校者数は2567人。前年度より15・7%増加した。

暴力行為は全国11番目の多さ

 小中高校の暴力行為の発生件数は前年度比13・1%増の2605件だった。小学校では過去最多で、中学、高校では前年度より減少した。児童生徒1000人当たりの件数は11・3件で全国平均(7・5件)を上回り、全国で11番目に多かった。

 小学校は1662件で、うち教員への暴力が299件増の609件だった。児童・生徒への暴力が848件で全体の51%を占めた。

 県教委は新型コロナウイルスで減少していた活動が復活し、人との接触が増加したことが一因と捉える。

 「感情を抑えきれず、特定の児童生徒が繰り返し暴力行為をしているケースもある。要請があれば職員を派遣し、副担任を担当させるなど対策を取っている」と説明する。

 仙台市の発生件数は1253件。生徒間の暴力が785件と全体の約6割を占めた。

いじめ、認知件数減も1000人当たりでは全国平均より上

 小中高校と特別支援学校のいじめの認知件数は1万4644件で、前年度から139件減った。1000人当たりの件数は62・7件で、全国平均(53・3件)を上回った。

 校種別の認知件数は小学校1万2318件、中学校2058件、高校229件、特別支援学校39件。小学校は前年度より214件減った。県教委は「からかいなど小さなトラブルも積極的に認知した」と述べた。

 いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」の発生は計29件あり、前年度より10件増加した。いじめの解消率は77・5%で前年度より4・4ポイント減少したが、全国平均(77・1%)は上回った。

 県教委の担当者は「安易に解消したと判断せず、継続的な観察が必要だ」と話した。各教育事務所や義務教育課に弁護士を配置し、いじめ予防教室や法律相談を実施。交流サイト(SNS)でのトラブル防止に向けて研修による情報モラルの啓発やフィルタリング機能の普及にも取り組む。

 仙台市の認知件数は、前年度比3・3%減の1万1871件。1000人当たりの件数は147・1件で、政令市平均(件)の2・2倍に達した。

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