「カレーは甘すぎてダメでした…」日本に来たインド人が抱く「食への強烈な違和感」と、ウマすぎて驚いた「意外な食べ物」

「カレーが生まれた国」であるインドでは、独特な食文化が形成されている。そのため、海外に出たインド人たちは「食への違和感」を抱くことになるという。観光ガイドLakhan Kumarさんに、日本に来たインド人が何を食べ、何を美味しいと感じるのかを語ってもらった。

日本人向けの味付けに「がっかり」

私は「ブッダが悟りを開いた町」として知られるブッダガヤでガイドをしています。日本人を案内する旅行会社で働いた時期もあり、これまでに4回、日本に長期滞在しました。

インド人が海外に出るうえで最も高い壁となるのが「食」です。インドではベジタリアンが多く、完璧な菜食主義者でなくても「肉はあまり食べない」という人が大多数。私自身も肉を食べるのは月に2、3回で、魚の方が馴染みがあります。

肉は体に良くない、肉を食べ続けると病気につながると考えるインド人は多く、肉を避ける人の数は年々増えているようにも感じます。

食事中の筆者(左)

さて、野菜を好むインド人が海外に出ると「どこに肉が入ってるか分からない」という恐怖を抱くことになります。

特にインドで「神聖な生き物」とされている牛を食べないように、注意しなければなりません。そのため、日本に来ても「まずはインド料理店に行こう」と考えるインド人が少なくないのです。

しかし、ここで問題が起きます。インド料理店=カレー屋の中には、味付けを日本向けに甘くしている店があるのです。インドの味を期待して行ったのに、期待外れに終わることも……。そもそもインドでは辛いのが苦手という人は非常に少なく、「甘辛」という概念は存在しないのです。

酒を飲むと罰金を取られる

日本式カレーの進化形である「カレーうどん」を食べたこともあります。こちらも甘すぎて「インドのカレー」とは別物だと思いました。日本とインドでは香辛料の量はもちろん、種類も違うはずです。

日本に来ていちばん美味しかったのは「鰻」です。日本に住むインド人の友人に連れられて訪れた浜松で、生まれて初めて鰻を食べました。タレの味に深みがあって、虜になりました。その後、名古屋駅に行った際には、ひつまぶしを堪能。インドではよく鯉を食べていましたが、同じ魚でも鰻はまるで違った味わいでしたね。

日本に来たインド人たちは、よく「たこ焼き」や「天ぷら」が美味しいと言っています。どちらも肉が入っておらず、安心して食べられるという事情もあるようです。

「ラーメン」もインド人から人気がありますが、私は「ビール」とセットで楽しんでいました。まずはチャーシューの小皿をツマミに、ビールを楽しむ。気分が良くなってきた頃に、熱々のラーメンが出てくる……もう最高です。

実はこのビール、私が住むビハール州ではめったに飲む機会がありません。2016年以降、飲酒や酒類の持ち込みが禁止されているからです。初犯なら罰金は5万ルピー(約9万円)。刑務所に入れられることは稀ですが、弁護士費用もかかります。

ちなみに再犯は10万ルピー(約18万円)の罰金。こっそり酒を飲む人はいますが、町中で堂々と酒を飲む人の姿はビハール州では見られません。

初めての焼き肉屋へ

日本ではコンビニでもビールを買えてしまいます。セブンイレブンでピーナッツやドライフルーツとビールを買うのが、日本滞在中の楽しみになっていました。

インドにはほとんどない「焼肉屋」にも足を運びました。シヴァ神の乗り物である牛は食べられないので、豚と鶏だけ。インドでは肉を食べるにしても香辛料をふんだんに使いますが、日本の肉はそのまま焼くのに驚きました。タレが美味しいので、これはこれでアリですね。

「タバコ」も、日本にいる時の方がたくさん吸っていました。日本のタバコは最初ハードに感じましたが、慣れてくると美味しく感じるようになりました。ただ、インドに帰ってからはタバコを減らしました。インドでは体に良いか、悪いかを重視する文化があります。ガンのリスクを考えると、タバコはやめた方がいいでしょう。

インドに戻ってからは、再びインド料理の生活に戻りました。「中華料理」がよく食べられている国も多いと聞きますが、インドは例外です。人口の8割近くを占めるヒンズー教徒は、インド料理以外をあまり食べません。中華料理を出す店もありますが、注文するのは外国人観光客か、若者だけです。

日本料理を出す店もゼロではないものの。インドでは珍しいです。「牛が入ってるかも」と疑って、避ける人もいます。ただ、日本で生まれた「オムライス」はインドでも大人気。日本から来た観光客からも、日本の味に似ていると好評です。

伝統的なインド料理が根強く支持され続けているこの国は、海外の人からは「不思議に思えるかもしれません。しかし、多くの人が宗教を熱心に信じるインドでは、これが当たり前なのです。

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