東北最大級の深さ7.4メートルの堀跡出土 青森・南部の国史跡「聖寿寺館跡」

青森県南部町教委は19日、北東北最大の戦国大名・三戸南部氏が拠点とした国史跡「聖寿寺館(しょうじゅじたて)跡」で、中世(室町、戦国時代)の遺跡としては東北最大級の深さ約7・4メートルの堀跡が見つかったと発表した。

V字型構造 三戸南部氏、権力の象徴か

 町教委によると、東北の堀跡では八戸市の「根城跡」の約10メートルが最も深い。今回見つかった堀跡は、二戸市の「不動館跡」、岩手県金ケ崎町の「大林城」の約8メートルに匹敵するという。

 堀跡は、本年度初めて調査が入った館跡東側で見つかった。V字型の溝が特徴の「薬研(やげん)堀」が2本並んで確認された。堀の上端部は幅約15メートルで、幅約50センチの堀底に向かって次第に狭くなっている。

 深い堀を造るには多くの人手が必要なことから、三戸南部氏が持っていた巨大な権力や勢力の象徴と考えられるという。

 江戸時代の複数の絵図から、これまでは堀が見つかった館跡東側が奥州街道とされてきたが、堀底の狭さから人が通れないと判明。堀の東側10メートル付近を通る現在の町道が奥州街道だった可能性が高まった。

 町教委社会教育課史跡対策室の布施和洋総括主査は「建物周辺はおおむね確認が終わり、堀の発掘や門に至る通路を調べている。来年度は南東部の堀周辺を調べ、全容の解明につなげたい」と話した。

 町教委は28日午前10時半に、一般向けの現地説明会を開く。事前申し込みは不要。

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