盛りの良さから仙台市内で長く愛されてきた大衆中華料理店「北京餃子(ぎょうざ)」が来年3月初旬、青葉区一番町3丁目のマーブルロードおおまち商店街のビルで営業を始めます。来年3月から長期休業に入る一番町3丁目のファッションビル「仙台フォーラス」にある現店舗は2月末に閉店し、約250メートル離れた市中心部の一角に移転します。(編集局コンテンツセンター・吉江圭介)
「飲み放題コース」追加 夜の集客に力
新店舗は仙台駅方面からマーブルロードおおまち商店街に入ると、徒歩1分ほどの距離にある「しまぬきビル」の地下1階にあります。面積は現在の2倍となる約60坪(約200平方メートル)に広がり、客席も1・5倍前後の80~90席に増やします。女性が1人でも来店しやすいように、仕切りで区切られた座席を10席ほど用意します。
「デカ盛り」が名物として知られる商品は、人件費や原材料費高騰の影響で、全体的に値上げが避けられない見通しですが、ボリュームと価格を抑えた「8分の5」のメニュー数を増やします。
新型コロナウイルス禍で売り上げが伸び悩んだ夜間の集客に力を入れます。大学生や専門学校生らに照準を合わせ、食事数品を付けたアルコール飲料の飲み放題コース(3000円程度)や、夜間向けに青菜の炒め物や酢豚など一品料理を追加します。営業時間は2時間延ばし、午後10時までとします。
客のエール相次ぎ「絶対につぶせない」
「仙台のソウルフード発信地」として知られる北京餃子は1977年に開店し、看板商品の広東焼きそばが学生らに愛されてきました。ビルの劣化調査に伴う仙台フォーラスの休業が明らかになった8月以降、移転先が決まらない中で存続を願うファンの声が店に多く届いたといいます。
運営する船田食品製造(宮城県利府町)営業責任者の船田洋さん(43)は「お客さんに店がこれほど支持されてきたことに驚きました」と感謝します。
「多い、安い、うまい」を売りとする店は、原材料費の上昇などで赤字が続いており、店をたたむこともよぎりましたが、「次の世代に向けて絶対につぶせないと感じました。学生たちに愛されるよう、ファンの皆さんにおいしいと思ってもらえるようにしたい」と決意を新たにしました。
ヨドバシビルに姉妹店を出店へ
同社は来年2月初旬、JR仙台駅東口の複合商業ビル「ヨドバシ仙台第1ビル」1階の飲食フロア「オイシイもの横丁」にわら焼きカツオと焼きとんを提供する新店舗「きんぎょ」をオープンさせます。
店名は30年以上前に、常連客が「北京餃子」をこう呼んでいたことにちなんでいるそうです。姉妹店との位置付けで、北京餃子の料理もランチで週替わりに味わえます。