巨大ITに異例の審査宣言 「寡占化」進む市場 公取委、消費者不利益憂慮

公正取引委員会が23日、米グーグルを独禁法違反容疑で審査を始めたと発表した。  異例の着手宣言を行った背景には、「市場の番人」として、巨大ITによる市場の寡占化が経済活動の停滞や消費者への不利益をもたらすとの危機感がある。 【写真】米IT大手グーグルの本社  「人為的に支配力を固定化する仕組みをつくると競争が難しくなり、イノベーション(技術革新)も起こりにくくなる」  公取委の田辺治審査局長は、担当者の中島菜子上席審査専門官を伴って臨んだ記者会見の冒頭、グーグルがスマートフォンの初期設定段階で自社の検索アプリを搭載させた上、競合事業者を排除する仕組みをつくった疑いがあると表明し、問題意識も明らかにした。黙認すれば、より良い商品やサービスを消費者が選択できなくなる恐れもあると懸念する。  既に日本のスマホ市場は、基本ソフト(OS)で見れば、グーグルが開発した「アンドロイド」とアップルの「iOS」に二分され、寡占状態にある。公取委はこうした分析結果を2月に公表し、自ら提供するアプリを優遇するなどの行為は独禁法上問題となる恐れがあると警鐘を鳴らしていた。  ただ、グーグルへの審査は今月になって始まったばかりで、情報収集や事実認定はこれからだ。独禁法に基づく立ち入り検査も行っていない。中島氏は今後の展望に関し、「これから調べたい」と述べるにとどめた。  公取委は昨年6月、グーグルなどに代表される大手デジタルプラットフォーム事業者を審査する際、「効率的・効果的な情報収集」を行うとして、初期段階で概要を公表することもあり得るとする声明を出した。グーグルの審査はこの第1弾に当たる。スマホが人々の日常に浸透し不可欠のツールとなる中、巨大ITに対する公取委の審査能力が問われている。 

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